2017 Fiscal Year Research-status Report
脂肪組織由来幹細胞を用いた薬剤徐放による肺高血圧増殖病変の制御
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17K10163
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
根本 慎太郎 大阪医科大学, 医学部, 教授 (20237811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊井 正明 大阪医科大学, その他部局等, 講師 (10442922)
岸 勘太 大阪医科大学, 医学部, 助教 (20408503) [Withdrawn]
島田 亮 大阪医科大学, 医学部, 非常勤医師 (60795079)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺高血圧 / 脂肪組織由来幹細胞 / 薬剤徐放 / スタチン / 血管増殖病変 |
Outline of Annual Research Achievements |
【in-vitro】 ラット鼠径部の皮下脂肪組織からラットAdSCを採取した。このAdSC 5X10*4に各種濃度のスタチン(0,25,50,100,200μg)を抱合させたナノ粒子を共培養させ、トランスウェルインサートに播種した。これをラット肺動脈平滑筋細胞PASMC 1×10*5の入ったトランスウェルプレート内に静置し、72時間後にトランスウェルプレート底面からPASMCを剥離して細胞数をカウントした(増殖能評価)。スタチンナノ粒子濃度が100μg,200μg,50μg,25μg,0μgの順でPASMCの増殖を抑制した。またラットAdSC 2×10*4と増殖遊走促進PDGF(platelet-derived growth factor)-BB 15ngをトランスウェルインサート内に共培養させ、各種濃度のスタチン(0,25,50,100,200μg)を抱合させたナノ粒子を播種させた。ここにラットPASMC 2×10*4を播種し、18時間後にトランスウェルインサートの底面を剥離し、固定、DAPI液で染色後、蛍光顕微鏡で細胞数をカウントした(遊走能評価)。スタチンナノ粒子の濃度が50μgの場合に最も遊走が見られた。 【in-vivo】 モノクロタリンMCT投与によるラット肺高血圧モデルの作成を開始した。MCT投与3週目にすべての個体で心エコー検査上肺高血圧を作成しえたが、4週目には全個体の40%が死亡した。そのため、MCT投与3週目に①スタチンナノ粒子200μg+ラットAdSC 1×10*5投与、②コントロール群(PBSのみ投与)のそれぞれを静脈投する群を設定したが翌週に前動物が死亡した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
【in-vitro】実験では、当初ヒトAdSCを用いたが、より実験研究に適切なラットAdSCの分離培養に成功したため、途中から同種同士の細胞(ラットAdSCとラット肺動脈平滑筋細胞)を用いて再出発したため計画より遅れた。 【in-vivo】実験では、肺高血圧モデルラットがMCT投与後3週以降は大変不安定となり死亡も多く、適切なモデルの作成が困難であった。 次年度には、安定した肺高血圧動物モデルに変更しin-vivoでの実験を確立及び継続させる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
MCTを使用した肺高血圧モデルについては、既報の論文を元に作成したが、投与直後は生存していたものの、AdSCの投与に関係なく数週間後に多呼吸・体重減少などが出現し、死亡してしまう個体も少なくはなかった。そのため、モデルの変更が必要と判断し、まず動物種をラットからマウスに変更しMCTによる肺高血圧モデルを作成する予備実験を行ったが、剖検所見では肺高血圧に伴う病的変化を認めなかった。マウスを用いた他の方法による肺高血圧の誘導として、近年広く用いられるようになった低酸素チャンバーを用いた低酸素誘導による肺高血圧モデル作成の準備実験を開始した。次年度はこのモデルの確立から開始し、計画上遅れているin-vivoの実験を進める。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画に従い研究費の使用を行った。残金は次年度の消耗品購入費として使用予定。
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Research Products
(1 results)