2017 Fiscal Year Research-status Report
Function of HDL cholesterol in patients after Fontan operation
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17K10167
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
大内 秀雄 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (00517807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 正恒 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (30532486)
大澤 麻登里 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, レジデント (40792180) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 予後 / 予定外入院 / 死亡 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度はフォンタン手術後患者での血清HDLコレステロール(HDL-C、mg/dL)濃度の臨床的意義(研究1)について以下の成果を得ることができ第7回世界小児心臓病学会(平成29年6月:スペイン、バルセロナ)で報告した。 当院で経過観察中の340例のフォンタン患者(年齢15±8歳)と健常対象者28名のHDL-Cを測定した。フォンタン患者のHDL-Cは健常者より著明に低いことを再確認した(45±10 対 60±13、p<0.0001)。フォンタン患者の低いHDL-Cと関連が深い要因は高齢、大きな体格(BMI)、NYHA機能分類、高い脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値、蛋白漏出性胃腸症(PLE)合併、不整脈合併、低い体血圧、拡大した心室容積、利尿剤使用、そして腎機能低下であった。その中でPLE合併がフォンタン患者の低いHDL-Cと最も強く関係していることが明らかとなった。更に、これらフォンタン患者の平均4.8年の経過観察中に、108例が予定外入院を経験し、内22例が死亡していた。低いHDL-Cは予定外入院と関係し(ハザード:0.97、p=0.0002)、低いHDL-Cとされる40(mg/dL)未満の患者は40(mg/dL)以上の患者に比べ1.9倍入院する確率が高かった。また、この入院予測力は心不全の予後予測マーカーとして確立しているBNPと独立していた。更に、極端に低いHDL-C36 mg/dL未満の患者では36 mg/dL以上の患者に比べ、死亡の確率が2.7倍高いことが明らかとなった(p=0.036)。 従って、非先天性心疾患でない成人循環器疾患と同様に、フォンタン患者では元来健常者よりHDL-Cが低いが、更にこの低いHDL-Cは予定外の入院や死亡といった予後と関連し、フォンタン患者の病態と関連していることを明らかとすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1、研究一年目の目標(研究1)が達成され、学会に報告することが可能であった。 2、研究2年目以降の目標であるHDL機能の評価がある程度測定でき、少なくともフォンタン患者のHDL機能の一部であるコレステロール引き抜き能が低いことが明らかになりつつある。 3、フォンタン術後患者や対象としての患者の症例の集積も比較的順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在も研究は比較的順調に遂行できており、症例をより多く集積したい。当院では診療の質を上げるためフォンタン患者は定期的に検査入院し、その結果にも基づいた治療を遂行している。従って、研究の対象となる症例の集積も今後とも順調に増加することが見込まれる。 今後はコレステロールの機能の中で、コレステロール引き抜き能に加えて、抗酸化機能、抗炎症作用についても、これらの機能を研究所と協力し、血行動態や予後などの臨床の成績と比較することを進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
残高として11、737円生じたが、次年度の消耗品等にあてる予定である。
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Research Products
(2 results)