2018 Fiscal Year Research-status Report
新生児慢性肺疾患におけるmiR-21の役割解明と臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
17K10186
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
郷 勇人 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (30443857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桃井 伸緒 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (10285033)
橋本 浩一 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (50322342)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 新生児慢性肺疾患 / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
新生児慢性肺疾患(CLD)は未熟児の重篤な合併症の一つで、さらなる病態解明が望まれる。申請者は、高濃度酸素暴露により作製したCLDマウス肺において、miR-21が発症や重症化に関わることを明らかにした。 本研究の目的は、① miR-21欠損CLDマウスを用いて、CLDにおけるmiR-21の役割を解明する ② 野生型CLDマウスにmiR-21の阻害剤(inhibitor)を投与後、生理学的、分子生物学的に評価し、miR-21が治療標的になるかを検証する ③ 早産児の臍帯血中エクソソームのmiRNAの発現解析を行い、CLDの低侵襲的な早期診断、重症化予測のバイオマーカーを探索することである。 実験結果は、1)早産児の血清中のmiR-21の発現を臍帯血、日齢28、修正36週で解析した。CLD児では日齢28、修正36週でExosome中のmiR-21の発現が上昇していることがわかった。2)miR-21 KO新生仔マウスとWT新生仔マウスを7日間酸素暴露したところ、miR-21 KOマウスではmiR-21の標的遺伝子であるPtenの発現が上昇していた。3)miR-21 KOマウスと野生型マウスの8週齢時の体重はそれぞれ26.0±0.6g、25.8±0.4gで、酸素暴露後3日目の体重はmiR-21KOで21.1±0.7g、WTで21.5±0.4gと同様に減少していた。 4)miR-21 inhibitor投与群では、miR-21の発現は PBS投与群に比べ、20%程度まで減少していた。さらにmiR-21 inhibitor投与群ではPBS群に比べ、酸素暴露後日齢14での体重(6.2g±0.3g vs 5.8g±0.2g)が有意に増加し、分時換気量(21.3±0.9ml vs 18.2±1.2ml)、呼吸数(361±21 bpm vs 314±11 bpm)ともに改善していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新生児血液中のExosome miR-21発現解析が終了し、miR-21 KOマウスとmiR-21 inhibitor投与マウスの実験を開始できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
Exosome中のmiR-21の発現は、出生時は低いものの、生後28日で上昇し、修正36週でも高値が持続するため、日齢28の時点で血中ExosomeのmiR-21の発現が上昇する場合、CLD発症の予測になり得る可能性が示唆されたが、出生時の値は非CLD児より低いため、出生時よりCLDの発症を予測するのは難しいと考えられた。今年度は、尿中や気管吸引物中のmiR-21の発現解析も行う予定である。 一方、マウスの酸素暴露の実験ではmiR-21 inhibitor投与により呼吸生理学的に改善が得られていることから、miR-21が治療標的になり得る可能性が示唆され、今後、miR-21 KOマウスでも同様の実験を継続して検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
miRNA発現解析やmiRNA in situ ハイブリダイゼーション等に使用予定である。
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Research Products
(1 results)