2020 Fiscal Year Annual Research Report
Clinical application of neural repair mechanisms in the brain by endogenous neural stem cells to neonatal hypoxic-ischemic encephalopathy
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17K10187
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
加藤 丈典 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (30381875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 伸治 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00281824)
神農 英雄 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (40788387)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 低酸素性虚血性脳症 / 脳室下帯 / 内在性神経幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
新生児低酸素性虚血性脳症は神経学的後遺症をもたらす周産期における重要な疾患であるが、現時点において低体温療法以外の有効な治療法はない。本疾患の予後改善のためには、新生児脳傷害の病態の解明と新たな機序による治療法の開発が必要である。 ヒトを含む哺乳類では、胎生期のみならず生後においても側脳室に面した脳室下帯に神経幹細胞が存在し、新しいニューロンが産生されている。特にヒトにおいては、新生児期・乳児期に最も活発に産生がみられ、生後の脳発達や可塑性に重要な役割を担っていると考えられているが、新生児脳傷害が生後の脳室下帯におけるニューロン新生に与える影響については十分に解明されていない。また、脳室下帯に存在する神経幹細胞は、傷害された脳の再生を促進するうえで有望なソースであると考えられる。本研究では、内在性神経幹細胞が新生児低酸素性虚血性脳症などの脳傷害時にどのような分子学的影響を受けるか、そして神経再生にどのように寄与するかを明らかにし、神経再生を促進させる治療応用へ展開することを目指す。 本年度も共同研究者および研究協力者らとともに、げっ歯類での脳傷害モデルマウスでの神経幹細胞に関する研究を実施した。特に、複数の新生児脳傷害モデルマウスを用いて、脳室下帯から単一細胞懸濁液を調整し、10x chromium を用いたシングルセル遺伝子発現解析を行った。脳室下帯に存在する複数の細胞種がそれぞれ異なるクラスターとして識別でき、高い精度で解析ができていることを確認した。これらの解析により、新生児脳傷害時に神経幹細胞を含む脳室下帯に存在するさまざまな細胞種にどのような遺伝子発現変化が生じるかを、単一細胞レベルで捉えることが可能になっている。シングルセル遺伝子発現解析の結果から候補分子を選択し、これら分子の機能解析実験も同時に進めており、神経再生を促進する治療法の基盤技術の開発に取り組んだ。
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