2019 Fiscal Year Research-status Report
低出生体重児のストレス反応関連遺伝子DNAメチル化の複合的変化と精神行動発達
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17K10190
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
河野 由美 自治医科大学, 医学部, 教授 (50243390)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | メチル化 / 早産 / ストレス反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
低出生体重児では注意欠如多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症 (ASD)などの発達障害に類似した特異的な行動発達を高率に認めるといわれる。その原因はいまだ不明だが、子宮内、新生児期の高度なストレスによるエピジェネティクスの関与も疑われる。ストレス反応には、ヒトGR 遺伝子(NR3C1)のほかに、コルチゾール不活化酵素である11β- hydroxysteroid dehydrogenase 2遺伝子(11βHSD2) 、セロトニントランスポーター遺伝子(SLC6A4)などが関与していることが知られている。本研究では、この3つのストレス反応関連遺伝子のメチル化解析を行うことを目的とした。2019年度では前年度に引き続き、1) 研究機関で運用している「NICU入院児の検体保存バンク」の試料を用いて前出遺伝子のメチル化解析を行うこと、2)妊娠経過、在胎期間、出生体重の周産期情報、NICU入院期間中にみられる合併症、治療についての臨床情報を用いることについて、対象の選択と同意取得を行った。新たに「NICU入院児の検体保存バンク」での試料保存している12名から同意を得た。昨年度分とあわせて18名25検体からDNAを抽出した。先行文献からセロトニントランスポーター遺伝子(SLC6A4)の解析領域候補として5'UTR領域の20CpGのメチル化率を測定することとした。先行研究で解析したヒトGR 遺伝子(NR3C1) プロモーター領域の15CpG サイトとあわせて、現在第1回目のメチル化解析をバイサルファイトシークエンスにより行っている。また対象となる18名の周産期・新生児情報を後方視的に診療録から取得し、昨年度作成したデータベースに情報を追加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象の新生児の採血負担を減らし、効率よく試料を用いるため「NICU入院児の検体バンク」を設立し、そこに保管された試料を用いて研究を行うこととした。本研究での試料の使用について同意を得られる例が予定より少なく、2020年2月で計18名25検体に達した。メチル化解析は、精度とコストの面からできるだけ一度に行うことが望ましいため25検体が集まった時点で解析を開始したため遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在開始しているヒトGR 遺伝子(NR3C1)、セロトニントランスポーター遺伝子(SLC6A4)のメチル化解析を継続して行い、臍帯血およびNICU 退院時血液のそれぞれについてNR3C1、SLC6A4の各CpGサイトのメチル化率を測定する。更に2020年度前半で検体バンクに試料を保管している例から同意を取得し、対象数を追加する。対象の在胎期間、出生体重、NICU 入院中の合併症や治療などのライフイベントと、測定した遺伝子のCpG 各サイトのDNA メチル化率の関係について統計学的手法を用いて検討する。
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Causes of Carryover |
メチル化解析は、精度とコストの面からできるだけ一度に行うことが望ましいことから、同意取得に努めたが、試料数の合計が25検体となったのが年度末となった。2019年度末にDNA抽出を終了し、メチル化解析は2020年度にはいり開始した。そのため必要な消耗品の購入を繰り越し、人件費、旅費の支払いも2019年度では不要となった。 使用計画:メチル化測定を一斉に行い、同時に対象数を増やすため同意取得を継続している。このため本年度は多額の消耗品物品、人件費の使用が見込まれる。学会等での結果発表のための旅費の使用も見込まれる。
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Research Products
(1 results)