2021 Fiscal Year Research-status Report
超早産児に対する早期強化母乳栄養の効果に関する検討
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17K10193
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
板橋 家頭夫 昭和大学, 医学部, 名誉教授 (00223074)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 早産児 / 低出生体重児 / 経腸栄養 / 母乳 / 発育不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
強化母乳栄養(HMF: human milk fortification)は出生体重1500g未満で出生した極低出生体重児の標準的な経腸栄養管理であるが、現状ではNICU入院中の発育遅滞(子宮外発育不全)を予防することができない。この要因には①母乳中の栄養成分の個体差や変動による栄養摂取量の不足、②HMFを開始する時期が遅いことによる出生体重復帰時期の遅延が挙げられる。我々の先行研究により、母乳の成分分析の結果に基づくたんぱく質の個別強化(targeted HMF)が安全かつ有効であること示されているが、近年諸外国から報告されている、より早期からのHMF(early HMF)の安全性や有効性のエビデンスは十分ではない。本研究の目的はtargeted HMFにより母乳中たんぱく質の個体差および変動を最小限にし、early HMFと従来のHMF(delayed HMF)の効果と安全性を比較することである。 平成29年度に研究計画をもとに当院倫理委員会への申請、UMIN-CTRデータベースへの研究プロトコール登録を行い、平成29年12月より対象者のリクルートを開始した。令和3年3月末までに55例の極低出生体重児が登録され、令和3年度前半までに全症例で修正40週の体格評価が終了した。現在データクリーニングを終え、最終的な結果の解析および研究成果の論文化を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
院内における倫理委員会の承認に時間を要したこと、targeted HMFに用いるために当初予定していたたんぱく質粉末の入手が困難となり、適切な代替製品の選定に時間を要したことにより、リクルート開始時期が当初よりも遅くなってしまった。また、①平成30年1月から小児循環器センターが開設されたことにより、循環器疾患の長期入院例の増加に伴う早産児受入数の減少、②病棟内でのMRSAなど多剤耐性菌アウトブレイク、水痘発生事例による母体搬送および入院の制限、③新型コロナウイルス感染拡大による分娩数・NICU入院数の減少などにより予定していた症例のリクルートが困難な期間が複数回あった。そのため、リクルート期間を令和3年(2021年)3月まで継続し、令和3年9月まで経過観察期間を延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年9月までに症例のリクルートおよび経過観察を終了した。データクリーニング、解析、論文化を予定している。
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Causes of Carryover |
症例の組み入れ期間を延長したため、母乳強化剤(HMS-2)およびtargeted HMFに用いる蛋白質粉末(Lacprodan DI-9224)の継続購入が必要となる。 データ解析後に研究成果の学会発表と論文化を予定している。
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