2018 Fiscal Year Research-status Report
低出生体重 (J-DOHaD) モデルを用いた早期介入を目指す先制医療の基礎研究
Project/Area Number |
17K10195
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
根本 崇宏 日本医科大学, 医学部, 准教授 (40366654)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | DOHaD / 低出生体重 / 成長障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎生期の栄養不良により生じる低出生体重児が成長後にストレスに対する脆弱性を示す機序を解明することと、その児に対する積極的介入を目指す先制医療の基盤を形成するためのラットモデルを作出し、解析することを目的とした。日本の健常女性のみならず妊婦にもみられる低糖質ダイエットを模倣した低炭水化物カロリー制限食を交配直後のメスラットに摂餌させ、妊娠期間全期間にわたりカロリー制限をさせると、在胎期間や出生数に影響は出ないが出生体重が軽くなる。2018年度は、成長後の高脂肪食負荷による体質と生育環境のミスマッチが代謝ストレスとなり、インスリン抵抗性を呈するようになること、これらのラット仔にメチルドナー食を摂餌させるとインスリン抵抗性が一部緩和されることを明らかにし、アメリカ内分泌学会(ENDO2019)で発表してきた。この機序として、肝臓でのインスリン受容体の発現量が対照ラットに比べ低下すること、糖新生酵素の転写因子であるFoxO1は、対照ラットでh赤穂脂肪食負荷で低下するのに対し、低出生体重ラットは増加することを明らかにした。この機序はまだ不明なため、2019年度はこの機序の解析をDNAのメチル化の解析を行うことで明らかにしたい。また、これまで明らかにしてきた、成長が追いつかない短体長低体重ラットが生じる機序として、肝臓でのmiR-322発現の亢進と、それに伴う成長ホルモン受容体発現量の低下とインスリン用成長因子-1の産生量と血中濃度の低下が生じること、出生時低体重が次世代以降にも同様の出生時低体重として影響を残すことをアメリカ栄養学会で発表し、現在論文にまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結果は着実に出ているが、論文執筆が送れている。2019年度は最終年度となるため、実験結果を速やかにまとめ、それらの成果を社会に発信したい。
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Strategy for Future Research Activity |
メチルドナーの補充が、高脂肪食を与えた仔のインスリン抵抗性を一部正常化することが明らかになったことから、2019年度はメチルドナーの補充が出生時低体重の影響を残す次世代以降に対しても正常化できるかどうかを確かめる。効果が見られたならば、介入のタイミングや期間について検討を加える。また、2018年度にアメリカ内分泌学会で発表した際に、過剰なメチルドナー補充による悪影響は無いのかとの質問を受けたため、妊娠前から妊娠期間全期間を通じた過剰なメチルドナー補充が母体や胎仔、出生仔にどのような影響を与えるか明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
アメリカ内分泌学会での成果発表が3/28帰国となったため、出張旅費を次年度分として計上した。
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