2017 Fiscal Year Research-status Report
Neurological Prognostic Prediction in relation with Brain Glycogen Metabolism and Neonatal Asphyxia: Biomarker Discovery and Clinical Application
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17K10196
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
杉江 秀夫 常葉大学, 保健医療学部, 教授 (60119980)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 新生児仮死 / 脳型ホスホリラーゼ / 脳性麻痺 / 脳エネルギー代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究計画に沿って次の計画を実施した。 (1)症例の収集とPYGB多型の解析:対象の条件として未熟児、成熟児出生で新生児仮死を経験し3年以上追跡できた症例で出生5分後Apgar scoreが7点以下のものとする。奇形、染色体異常、代謝異常など明らかな基礎疾患が見られるものは除外する。脳性麻痺などの中枢神経後遺症を残した群(Abn群)と、対象として同程度の仮死がありながら発達が正常な群(Nor群)の2群に分類して症例を収集した。現在までに脳性麻痺群(仮死に起因する)の症例を20例、DNA分離のための唾液を収集できている。累積では脳性まひ児約40例となっている。 (2)遺伝子多型検索:唾液よりDNAを抽出し、脳型ホスホリラーゼ遺伝子(PYGB)について、特に予備実験でNor群とAbn群との間に見出した相違について検討を進めている。同時に約100例の正常対照群のDNAを用いて比較検討しその意義づけを行っている。正常対照群のDNAは財団法人ヒューマンサイエンス振興財団ヒューマンサイエンス研究資源バンク(HSRRB)から日本人由来B細胞株抽出精製DNAの分譲を受けこれを利用した。 (3)PYGB遺伝子の組み換え実験:常葉大学遺伝子組み換え実験委員会に遺伝子組み換え実験の申請を行い承認された(承認番号(第2017-004号)。承認後必要な試薬の購入を進め、今後PYGBの変異を組み込んだ培養細胞を用いて脳型ホスホリラーゼの様々な条件下での動態を検討する準備を整えてゆく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画である症例収集については、協力施設の協力によりほぼ順調に症例が収集できた。今後唾液からDNAを抽出し多型を調べる予定である。これにより従来のものも含め総数が約40例ほどとなり、比較検討するにほぼ満足できる症例数と考えられる。また基礎実験として予定していた、遺伝子組み換え実験については大学内の手続きが終了し、実験計画が承認され、試薬などの購入もほぼ完了し、次年度に向けて基礎実験の準備も整った。このように本年度の計画としてはおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
仮死状態により個体による中枢神経系の脆弱性の差について、臨床面と基礎実験を用いた病態の解明の両面から病態を明らかにする。 (1)遺伝子検索の継続 平成29年度に開始したPYGBの検索について症例をさらに蓄積し検索を継続する。 (2)神経予後推定の遺伝子バイオマーカーの意義付けと検証:収集した臨床情報、唾液から抽出したDNAの遺伝子情報の結果を解析し、神経後遺症罹患リスクをもつ個体に関連する有力な遺伝子バイオマーカーを探索する。有力な遺伝子バイオマーカーが確立できた場合は、バイオマーカー候補のハイスループットな測定法の確立をめざす。またPYGB遺伝子の機能を検討するために、GeneScriptよりpcDNA3.1+発現ベクターに 遺伝子バイオマーカーを導入したものを購入し、HEK293細胞で発現機能評価を行う。以上の臨床データと基礎データを基盤として仮死に起因する脳性麻痺リスク児の早期介入フォローアップ体制の構築を検討してゆく。
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Causes of Carryover |
(理由〉 今年度は症例の収集および遺伝子組み換えによる発現実験の準備のため、試薬類の購入が予定を下回った。また本研究専用のパソコンを購入予定であったが、次年度に繰り越したためその分の予算が繰り越しとなった。また予定していた学会参加が常葉大学の学務のため中止をしたため旅費の執行も減額となった。 (使用計画) 次年度は本格的な組み換え実験に取り掛かる予定であり、また新たにゲノム編集技術も併用する予定であり、繰り越し分と次年度分の予算を有効に使用することで研究計画の進展を計りたいと考えている。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] 当科における神経筋疾患症例の臨床経過について2017
Author(s)
平出 拓也, 林 泰寿, 漆畑 伶, 朝比奈 美輝, 松林 朋子, 田口 智英, 鈴木 輝彦, 遠藤 雄策, 宮本 健, 平野 浩一, 杉江 陽子, 杉江 秀夫, 福田 冬季子
Organizer
第59回日本小児神経学会
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[Presentation] PYGM遺伝子新規変異c.865G>Aを認めたMcArdle病の一例2017
Author(s)
藤野 雄三, 中村 拓真, 田中 章浩, 笠井 高士, 千代延 友裕, 吉田 路子, 滋賀 健介, 杉江 秀夫, 平松 有, 岡本 裕嗣, 高嶋 博, 水野 敏樹
Organizer
第58回日本神経学会
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