2017 Fiscal Year Research-status Report
胎盤血流動態が胎盤形態と栄養素輸送機能に与える影響の研究
Project/Area Number |
17K10198
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
柴田 英治 産業医科大学, 医学部, 講師 (90419838)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 胎児医学 / 生理学 / 超音波医学 / 胎盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、当院で妊婦健診を受け分娩予定の単胎妊婦9例の超音波3D power Doppler法による胎盤血流動態計測を行った。Histogram analysisによる胎盤のVascularization-Index (VI)、Flow-Index (FI),Vascularization-Flow-Index (VFI)値の分析が行われた。症例の内訳は、正常妊娠2例、切迫早産1例、妊娠糖尿病2例、前置胎盤1例、重症妊娠高血圧腎症2例であった。この症例の中で8例が分娩(経腟分娩4例、帝王切開分娩4例)となり、全ての症例の胎盤試料採取が行われた。胎盤のHE染色により、病理学的・形態学的検索を行った。 対象の平均年齢は33.1歳、胎盤血流動態計測時の平均妊娠週数は妊娠35週2日、平均分娩週数は妊娠36週1日であった。経腟分娩4例、帝王切開分娩4例であった。切迫早産1例はまだ分娩となっていない。平均胎盤重量は504g、平均出生体重は2297gであった。胎盤の病理組織学的検査では、重症妊娠高血圧腎症の1例に絨毛膜羊膜炎と臍帯炎を認めた。また、重症妊娠高血圧腎症の1例に高度の梗塞巣とghost villiを認めた。 超音波3D power Doppler法によるHistogram analysisの結果、胎盤のVascularization-Index (VI)値は平均3.93、Flow-Index (FI)値は24.4、Vascularization-Flow-Index (VFI)値は1.13であった。 今後、症例数を増やし、胎盤GCX 損傷の評価、総合的胎盤栄養素輸送機能評価{1.出生児・胎盤の臨床データ取得、2.胎盤の形態学的検討、3.胎盤の栄養素輸送体評価、4.母体・臍帯血におけるグルコース濃度、アミノ酸濃度、遊離脂肪酸分画(FFA、NEFA)濃度測定}を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究の進捗が遅れた主な要因は次の2点である。 1.平成29年度に当院で管理した正常妊娠、妊娠高血圧腎症、胎児発育不全の症例数は研究遂行にあたり相当数がいたが、超音波3D power Doppler法による胎盤血流動態計測の漏れ、分娩時の胎盤試料などの採取漏れなどがあり、最終的に十分な対象者が確保できなかった。 2.実験補助員が長期の休みをとったため、平成29年度採取された胎盤におけるGCX 損傷の評価、総合的胎盤栄養素輸送機能評価(胎盤の形態学的検討、胎盤の栄養素輸送体評価)が実施できなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究進捗の遅れに対して以下の本年度以降の今後の研究の推進を図る。 1.平成29年度に当院で管理した正常妊娠、妊娠高血圧腎症、胎児発育不全の症例数は研究遂行にあたり相当数がいたにも関わらず、胎盤血流動態計測の漏れ、分娩時の胎盤試料などの採取漏れなどがあったことから、主任研究員は、産科医師全体に本研究の研究計画(対象者の研究の進捗状況など)を周知し、検査漏れ、試料の採取漏れがないようにする。 2.平成29年度に実験補助員が長期の休みをとったため、胎盤におけるGCX 損傷の評価、総合的胎盤栄養素輸送機能評価(胎盤の形態学的検討、胎盤の栄養素輸送体評価)が実施できなかったことから、早急に新たな研究補助員を雇用し、基礎的研究を遂行するか、主任研究員自ら主体的に基礎的研究を行うこととする。
|
Causes of Carryover |
平成29年度に実験補助員が長期の休みをとったため、胎盤におけるGCX 損傷の評価、総合的胎盤栄養素輸送機能評価(胎盤の形態学的検討、胎盤の栄養素輸送体評価)などの基礎的実験が実施できなかった。このため、平成30年度は、新たな実験補助員(勤務時間の増加)の雇用が必要となったため、次年度使用額が生じた。 また、平成29年度に行う予定であった胎盤試料を用いた基礎的実験を平成30年に行うことから研究試薬購入などのため次年度使用額が生じた。
|