2017 Fiscal Year Research-status Report
毛髪維持に必須なVII型コラーゲンの構造的特徴の解明
Project/Area Number |
17K10204
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
神 可代 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (60422060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 康司 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (50322946)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 表皮水疱症 / 7型コラーゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、すでにVII型コラーゲンノックアウト(KO)マウスを所有している。コラーゲン領域をKOした場合、生下時から水疱形成が手足を中心にみられ、多くの場合生後1~2週間しか生存しない。しかし、非コラーゲン(non-collagen: NC)領域であるC 末端側をKOしても、生下時には水疱はなく順調に成長することを確認した。三重らせん構造を呈するVII型コラーゲンは、NC2領域でお互いに結合する。その後NC2 領域の末端側は切断され、係留線維(anchoring fibril: AF)として表皮真皮をつなぎ止める役割を果たしている。NC2 領域をKOしても生下時の水疱、びらん形成はなく、皮膚の脆弱性には問題は生じなかったが、成長とともに毛髪が疎にあり、白毛化現象が現れることを我々は国内外で初めて証明した。 そこで我々は、VII型コラーゲンNC2 領域の毛髪維持における重要性に着目し、毛包構造や発毛への影響を解明するため、KOマウスを用いた研究を立案した。また、NC2領域はVII型コラーゲンが重合するうえで極めて重要な存在であるが、KOした場合でも表皮水疱症は発症しなかった。NC2領域不在の中で、VII型コラーゲンがどのように高次構造を形成し、皮膚の恒常性を維持できるのかを解明する。 VII型コラーゲン欠損による脱毛、白毛化の詳細な解析は、毛包周囲の環境が毛包幹細胞、メラノサイトの維持に重要な要因であることを証明する。また、間葉系幹細胞の治療効果を確立することは、脱毛に悩む患者を救済する新規治療法に導く研究になると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VII型コラーゲンNC2領域の表皮、毛包構造維持における役割の解明については十分な成果が得られていないが、おおむね計画に沿った一定の成果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の計画で十分な成果が得られなかった項目については引き続き検討を行う。 1.基底膜を構成するタンパクの構造的変化および発現の変化の解析:①コラーゲン領域、NC2 領域をKOしたマウス背部皮膚を電子顕微鏡で観察、表皮下水疱の存在の有無、毛包周囲のAFの構造的違いを検討する。②AFと接着する基底膜タンパクであるBP180、ラミニン332などのタンパク発現を、皮膚から回収したRNA、タンパクを用い、RT-PCR、ウエスタン法で確認。 2.NC2領域欠損VII型コラーゲンの機能的役割の解析:コラーゲン領域KOマウスとNC2 領域KOマウスをかけ合せて、ホモ接合マウスを作製する。水疱形成、脱毛・白毛化を経時的に観察、組織学的に検討、蛍光抗体法にて確認する。
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Research Products
(5 results)