2019 Fiscal Year Annual Research Report
The role of extracellular ATP in the pathogenesis of skin sclerosis and vasculopathy in systemic sclerosis
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17K10205
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
石川 治 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90168188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茂木 精一郎 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (20420185)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 全身性強皮症 / 皮膚硬化 / 細胞外ATP |
Outline of Annual Research Achievements |
全身性強皮症は、皮膚や臓器の線維化(硬化)と血管異常、免疫異常を生じる原因不明の難病である。血管異常(血流低下)による低酸素よって誘導される酸化ストレスや免疫異常による細胞障害によって、皮膚の線維芽細胞や血管内皮細胞がダメージを受けてアデノシン3リン酸(ATP)が細胞の外に放出される。細胞外ATPはdamage-associated molecular pattern molecules (DAMPs:ダメージ(傷害)関連分子パターン)と呼ばれ自己由来の起炎症性因子として知られている。最近では、ATPは細胞破壊の結果としてではなく、様々な細胞外からの刺激によって生理的、能動的に放出される細胞間伝達物質として機能することが明らかになってきた。しかし、全身性強皮症の皮膚硬化や血管障害の病態における細胞外ATPの役割は明らかになっていない。そこで、強皮症患者由来線維芽細胞やブレオマイシン誘導皮膚線維化マウスモデルを用いて、細胞外ATPによる皮膚硬化(線維化)や血管障害への関与について、そしてそのメカニズムを明らかにすることを目的として研究を行った。強皮症の血管障害によって生じた組織の低酸素が、血管内皮細胞や線維芽細胞から細胞外ATPを放出させて、放出した細胞外ATPが線維芽細胞上のP2Y2受容体と結合し、p38のチロシンリン酸化を介してIL-6産生や、増殖能の増加、Ⅰ型コラーゲンの産生増加を引き起こすことと、これらの反応が強皮症由来線維芽細胞では亢進することを明らかにし、細胞外ATPが強皮症の線維化に関与することが示唆された。また、P2Y2受容体阻害剤処理でATPによるIL-6産生および1型コラーゲン産生が抑制されたことで、P2Y2受容体阻害剤が強皮症の線維化の治療に応用できる可能性が示唆された。
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