2017 Fiscal Year Annual Research Report
A proof of concept study of medium chain trygryceride diet based treatment for congenital ichtgyosis
Project/Area Number |
17K10206
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小川 靖 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (10567754)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 皮膚科学 / NLSDI / 脂質代謝 / ケラチノサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
Neutrallipidstoragediseasewithichthyosis(NLSDI, 別 名 Chanarin-Dorfman 症候群)は細胞内のトリグリセリド(TG) 代 謝 に 必 須 の 酵 素 で あ る CGI- 58/ABHD5 の欠損による、重症型の魚鱗癬症候群である。NLSDI のモデル動物である CGI-58 ノックアウトマウスでは表皮ケラチノサイト(KC)の分化が胎生期早 期から予想外に大きく障害されていた。食事療法の一つである、Middle-chain triglyceride diet(MCT食)は全身性に脂肪を異化し、肥満患者の体脂肪の減少を もたらし、てんかん等の治療に用いられている。NLSDI症例において、MCT食が皮膚を含めた全身の症状緩和をもたらした報告があるが、1例のみの短報にとど まっている。また、NLSDIにおける細胞内脂質蓄積による表皮分化障害については、その存在は想定されるものの、詳細な研究はなされていない。 本研究ではMCT dietがNLSDIモデルマウスの皮膚形成にもたらす影響を細胞生物学的に検討し、本療法の有用性の理論的基盤を確立する事を目的とした。MCT食を マウスに投与する事により、血清中の遊離脂肪酸およびTG濃度は減少した。NLSDIモデル仔マウスでは正常仔マウスに比べて、経費水分蒸散量は上昇したが、MCT 食を与えられた母マウスから出生したモデル仔マウスでは、上昇は抑制された。それぞれの仔マウスの表皮構造と角層内に蓄積する脂肪滴について組織学的に比 較検討したが、明らかな変化を認めなかった。また、表皮の分化マーカーであるインボルクリン、ロリクリンの発現レベルについて、有為な差異は認められな かった。本研究により、MCT食がNLSDIの皮膚症状を改善させる可能性が示唆されるものの、その機序については更なる検討が必要である。
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