2017 Fiscal Year Research-status Report
皮膚における毛包および汗腺組織への分化を運命づけるメカニズムの探索
Project/Area Number |
17K10209
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高萩 俊輔 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 助教 (40448246)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 汗腺 / 毛包 / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス胎児(E18)から背部皮膚および足底皮膚から、上皮細胞、間葉系細胞を採取し、コラーゲンゲルに配置することで上皮-間葉系細胞凝集塊を作成した。以下、背部皮膚由来の細胞塊をRCBS、足底皮膚由来の細胞塊をRCFPとする。汗腺分化に関連した分子のmRNA発現は、経過と共に低下するあるいは、経過を通じて十分な発現を認めなかった。免疫不全マウスの背部皮膚、あるいは同系マウスの腎被膜下に細胞凝集塊を移植して分化能を検証した。RCBSを移植した皮膚または腎被膜下では毛包の構築が検出され、毛包マーカーで染色される組織が観察されたが、RCFPを移植した皮膚または腎被膜下では汗腺組織を認めず、汗腺マーカーで染色される組織は観察されなかった。 一方、上皮-間葉細胞混濁液から作成したspheroidによる分化誘導の方法も検討した。背部皮膚由来のspheroidをsRCBS、足底皮膚由来のものをsRCFPとする。spheroidの汗腺・毛包マーカーのmRNA発現は、汗腺分化マーカーは時系列で発現が低下し、汗腺分化シグナルは経過を通じて十分な発現はなかった。また、毛包分化マーカーは時系列で発現が低下するものの、sRCBSでは時系列で上昇するマーカー分子もあった。免疫不全マウスの背部皮膚、および同系マウスの腎被膜下にspheroidを移植したが、皮膚へ移植したものでは、両spheroidともに汗腺あるいは毛包を形成しなかった。腎被膜下への移植では、sRCBSの移植で毛包の形成を認めたが、sRCFPを移植したものでは汗腺導管や分泌部の形成はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、in-vitroでの上皮-間葉系細胞凝集塊により汗腺、毛包を再構築し、汗腺、毛包組織への分化に関連する分子を解析することを予定していた。しかし、現在の培養系では細胞塊を培養維持することができなかった。Spheroid形成による分化誘導や、マウスへの移植によるin-vivoでの分化誘導も試みており、毛包への分化誘導は達成できるが、汗腺への分化は達成できておらず、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
汗腺、毛包組織を再構築することで、その分化過程で関連する分子を同定し、in-vitroでの発現解析、さらにはin-vivoでの組織発生過程における毛包、汗腺組織の分化に関連する分子の解析を行っていく予定である。現状の手法で、背部皮膚組織からin-vivoで毛包組織の再構築することができているが、汗腺への分化は誘導できていない。汗腺分化を誘導できるような、細胞採取の時期やin-vitroでの培養方法、in-vivoでの移植方法を検討していく予定である。
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