2017 Fiscal Year Research-status Report
Rhoエフェクター分子は、角層バリアの恒常性維持に関与する。
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17K10214
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
波多野 豊 大分大学, 医学部, 教授 (80336263)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | mDia / ROCK / 皮膚バリア機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
表皮角化細胞特異的mDia1/3欠損マウス(K5Cre-mDia1/3KOマウス)及び表皮角化細胞特異的ROCK1/2欠損マウス(K5Cre-ROCK1/2KOマウス)における皮膚の状態を観察した。K5Cre-ROCK1/2KOマウスでは肉眼的に明確な変化は認めなかったが、エバンスブルーを用いた物質透過性試験によって角層・表皮の物質透過性が亢進していた。K5Cre-ROCK1/2KOマウスでは、自然発症性の皮膚炎が生じた。炎症が自然発症したK5Cre-ROCK1/2KOマウスの皮膚組織では、厚い鱗屑の付着、表皮肥厚、炎症細胞浸潤、真皮における肥満細胞の増加が観察された。以上の結果は、表皮角化細胞におけるmDia1/2とROCK1/2は、透過性皮膚バリア機能に関与し、更に、K5Cre-ROCK1/2KOマウスの結果からは、表皮角化細胞におけるRhoからのシグナルは、皮膚バリア機能のみでなく、表皮角化細胞における炎症関連機能にも深く関与していることを示唆している。更に、Rhoからのシグナル異常が、どのようなメカニズムで皮膚バリア機能異常に関与するのか?表皮角化細胞におけるROCK1/2の欠損が、どのような機序で、皮膚炎を生じさせるのか?その皮膚炎の特徴は何かを解明する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表皮角化細胞特異的なmDia1/3欠損マウス及び表皮角化細胞特異的ROCK1/2欠損マウスの両者の皮膚バリア機能を評価することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
表皮角化細胞特異的mDia1/3欠損マウスでは、角層透過性バリア機能回復能、角層固着性などを解析し、皮膚バリア機能について更に詳しく解析する。更に、その機序を探るために、角質細胞間脂質、層板顆粒分泌状況、周辺帯の観察を行う。 表皮角化細胞特異的ROCK1/2欠損マウスでは、自然発症した皮膚炎の特徴を解析する。皮膚炎部に浸潤する炎症細胞のpopulationを明らかにし、採取した血清中の免疫グロブリンやサイトカインの解析を行う。得られた皮膚炎の特徴についてのデータを基に、更に、どのようなメカニズムで皮膚炎発症に至るのかを追求する。
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Causes of Carryover |
今回の解析は、既に保有していた物品の範囲内で施行出来た。次年度以降に物品の購入が集中的に必要になる。一方、情報収集のための学会参加に経費が予想以上に要した。
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