2017 Fiscal Year Research-status Report
アトピー性皮膚炎におけるバリア破綻がもたらす炎症の惹起機構の解明
Project/Area Number |
17K10216
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
山本 真実 東京医科大学, 医学部, 助教 (60421062)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / インフラマゾーム |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性炎症性皮膚疾患の代表であるアトピー性皮膚炎の発症要因の一つとして、皮膚バリアの脆弱化が注目されている。皮膚バリア破綻を引きがねとする炎症の惹起と慢性化に至るメカニズムの解明がアトピー性皮膚炎の病態解明に重要と考える。我々はこれまでに、炎症の慢性化に関与する因子としてS100A8/A9の存在を明らかにし、それらの新規レセプターを同定した。本研究では、バリア破綻がもたらす炎症惹起機構としてインフラマゾームに注目した。インフラマゾームの構成要素であるNLRには23種類存在することが報告されているが、複数のNLRが一つのインフラマゾームに構成要素になりうることから、インフラマゾームの種類は非常に多いと推測される。アトピー性皮膚炎では皮膚バリア障害と乾燥が病態に関与することから、培養ケラチノサイトに様々な刺激を行い、空気暴露刺激による乾燥状態に関与するインフラマゾームの構成要素について検討を行った。その結果、NOD2とNLRP10の発現が特異的に亢進していた。これらの候補因子をケラチノサイトに過剰発現させると、NOD2では細胞形態に異常が生じた。NLRP10では明らかな変化は認めなかったが、両者を共発現させるとNOD2による細胞へのダメージが緩和されたことから、NOD2が炎症の惹起、NLRP10が炎症の抑制に寄与している可能性が示唆された。実際、皮膚組織染色ではNOD2は正常に比べてアトピー性皮膚炎の皮疹部では表皮全体に発現が強く亢進し、NLRP10は正常に比しアトピー性皮膚炎では発現が抑制されていることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目標は、皮膚バリア破綻に伴う炎症の惹起メカニズムとしてインフラマゾームに注目し、また炎症の慢性化へのプロセスを明らかにすることでアトピー性皮膚炎の病態解明を目指すものである。本年度は皮膚の乾燥状態に起因するインフラマゾームの候補因子の検討を行い、おおむね順調に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に得られた結果を基にして、アトピー性皮膚炎に関与するインフラマゾームの候補因子について炎症の慢性化に働くS100A8/A9の発現への影響などについて検討を進める。
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Causes of Carryover |
本年度はおおむね計画どおりに使用した。次年度は、実験に必要な抗体、細胞培養関連試薬、免疫染色関連試薬などの購入に使用予定である。
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Research Products
(3 results)