2017 Fiscal Year Research-status Report
Notchシグナルによるオートファジー制御とストレス応答機構における役割の解明
Project/Area Number |
17K10218
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
森山 麻里子 近畿大学, 薬学総合研究所, 准教授 (40595295)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ストレス応答 / アポトーシス / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、マウス創傷治癒時における、Hes1の発現を免疫染色法により確認した。結果、創傷2日目には、創傷の境目におけるHes1の発現量が増加し、上皮化された表皮においても、Hes1の発現が上昇していることが確認された。現在、Hes1の創傷治癒時における機能を解析するために、Hes1floxマウスとK14-CreERT2マウスを導入し、表皮特異的・タモキシフェン誘導型Hes1ノックアウトマウスの作成を目指し、掛け合わせを開始しているところである。 また、ヒト初代ケラチノサイトにUVBを照射し、Hes1の強制発現を行ったところ、BNIP3の発現、オートファゴソームの形成が抑制されることを見出した。さらに、UVB照射時における、Notch1の活性化、Hes1の発現をウェスタンブロッティング法にて確認した。以前、BNIP3の発現はUVB照射後4時間程度で上昇することを確認したが、Notch1の活性化、Hes1の発現ともに1時間程度での上昇が確認され、その後8時間まで発現上昇は維持されていることを確認した。Hes1がBNIP3の発現を抑制することを考えると、この観察結果は相反するように感じられるが、Hes1とBNIP3の発現のバランスが、細胞の生死を決定しているのかもしれない。そのため、Hes1の強制発現ベクター、Hes1ノックダウンベクターの作成を行い、遺伝子導入を試みたが、Nucleofector 4D、NEPA21などのエレクトロポレーション法では、導入効率が40%程度であったため、アデノウイルスベクターに作成し直した。アデノウイルスベクターでは、導入効率がほぼ100%であることを確かめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初と比べ、マウスを使用したin vivoの実験を少し前倒しにして行っている。現在までにほぼ、表皮特異的・タモキシフェン誘導型Hes1ノックアウトマウスの掛け合わせは終了し、タモキシフェンによる誘導チェックを行っている。そのため、in vivoでの実験は予定より早く進んでいると考えられる。in vitroでの計画は、当初予定していたHes1のノックダウン実験にまだ取りかかれていない。しかし、ノックダウンベクターの調整や予備実験は終了し、現在実験を行っているところである。全体的に俯瞰すると、3年計画で見ると計画通りに進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、引き続き表皮特異的・タモキシフェン誘導型Hes1ノックアウトマウスの解析を行っていく。現在までに掛け合わせは終了し、タモキシフェンによるノックアウトプロトコル確定が終了したため、今後は実際に創傷治癒時における表現系を確認していく予定である。近年では、マウスにおける全層欠損創では真皮の収縮が起こり、表皮ケラチノサイトの創傷治癒効果が正しく測定出来ないとの報告もあるため、全層欠損創作成後、シリコンリングを創傷部位に貼付する方法も試してみたいと考えている。また、vivoでの実験がうまくいかない場合は、このマウスから初代ケラチノサイトを樹立し、in vitroによるwound healing実験を行う。マウス表皮からのケラチノサイト樹立方法は既に確立しており、さらにCre発現ベクターも持っているため、すぐに実験に取りかかることが可能である。 また、この実験と並行し、初代ケラチノサイトにHes1のノックダウンを行ったり、Notch阻害財を添加し、UVBや創傷ストレス時におけるアポトーシス、オートファジー誘導、細胞移動などを調べていく。また、逆に初代ケラチノサイトにHes1や活性化型Notch1の強制発現を行い、UVBや創傷ストレス時におけるアポトーシス、オートファジー誘導、細胞移動を調べる。また、UVB照射量を変化させたときのNotch、Hes1、BNIP3の発現量、ならびに細胞死の割合を比較することで、Notch-Hes経路と細胞死に相関があるのか、また、合った場合に、Notch-Hes経路が細胞生存に関わる閾値があるのかを探りたい。
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Causes of Carryover |
当該年度は実験準備が主だったため、物品費をさほど必要としなかった。しかし、次年度はin vivo実験に伴う動物飼育費用や、免疫染色法に必要な抗体などの物品費がかさむものと考えられる。さらに、in vitroの実験では、アデノウイルスベクター作成費用や、免疫染色・ウェスタンブロッティング法に使用する抗体などの物品費が必要になる。また、論文作成に伴う英文校正費や論文投稿費用を考えている。特に論文投稿費用は、OPEN ACCESS雑誌を考えているため、当初の予定よりも費用がかかると予想される。また、次年度は当該研究における国際学会での発表を予定しており、海外旅費がかさむものと考えられる。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Notch signaling enhances stemness by regulating metabolic pathways through modifying p53, NF-κB, and HIF-1α.2018
Author(s)
Moriyama H, Moriyama M, Ozawa T, Tsuruta D, Iguchi T, Tamada S, Nakatani T, Nakagawa K, Hayakawa T
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Journal Title
Stem Cells Dev
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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