2017 Fiscal Year Research-status Report
アトピー性皮膚炎におけるマスト細胞活性化制御分子の生体内スクリーニング法の開発
Project/Area Number |
17K10253
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
安藤 智暁 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10724669)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / マスト細胞 / スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はアトピー性皮膚炎モデルにおいてマスト細胞の活性化・抑制に関わる分子を生体内でスクリーニングする方法の開発を行うことを目的としている。平成29年度は当初、マスト細胞の活性化状態の記録方法について検討を行う予定であったが、IL1RL1分子の欠損マウスが利用可能となったため、まずこのマウスを用いてモデルの妥当性についての追加検討を行った。IL1RL1はマスト細胞のアレルギー炎症における活性化や分化に重要であることが示されているほか、ヒトのアトピー性皮膚炎との関連性がゲノムワイド関連解析(GWAS)などで指摘されている分子である。野生型とIL1RL1欠損マウスにおいてアトピー性皮膚炎モデルを誘導したところ、本モデルにおいてもIL1RL1分子が何らかの役割を果たしていることが判明した。すでに我々は網羅的な遺伝子発現解析で本モデルとヒトのアトピー性皮膚炎との類似性を示しているが(Ando et.al., J Invest Dermatol, 2013)、本年度の結果からさらにヒトのアトピー性皮膚炎との類似性が明らかとなり、本研究で利用するモデルの妥当性が高まった。 また、本研究のスクリーニングにおいてはゲノム編集の手法を用いる予定であるが、この手法においてはCas9蛋白質をマスト細胞に発現させることが必要になる。当初、マスト細胞への導入にはレンチウイルスを用いる予定であったが、レトロウイルスベクターも作製することに成功したため、より効率的な導入方法の検討が可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は当初マスト細胞の活性化状態の記録方法についての検討を行う予定であったが、IL1RL1分子の欠損マウスが利用可能となったため、まずこのマウスを用いてモデルの妥当性についての追加検討することが必要になった。結果的に、ヒトのアトピー性皮膚炎との類似性がより強く示されたモデルであることを示すことができた。一方、スクリーニングにおけるCas9発現方法の幅を拡げることができたため、今後より効率的に実験を行える可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、初期に予定していたマスト細胞の活性化状態の記録方法のバリエーションを可能な限り検討する。作製が進み次第、これらの方法における記録閾値の検討に進み、平成29年度の遅れを取り戻したい。その際、IL1RL1分子を介した刺激や、IgEの抗原による架橋刺激など、本年度明らかになった知見や、本年度新たに作製したベクターを利用していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
マスト細胞の活性化を記録するための新規ベクター作製につき平成29年度中にできなかったため残額が生じた。当該実験を次年度に行うため使用する予定である。
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