2017 Fiscal Year Research-status Report
NEW APPROACH FOR DERIVATION OF MELANOCYTES FROM INDUCED PLURIPOTENT STEM (iPS) CELLS FOR VITILIGO AND MELANOMA
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17K10259
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
川上 民裕 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (20297659)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | メラノサイト / 皮膚色素細胞 / iPS細胞 / 白斑 / 悪性黒色腫 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトiPS細胞由来メラノサイト(色素細胞)を使用した皮膚科領域の再生医療への研究を行う。採血により獲得したTリンパ球由来iPS細胞を使い、メラノサイトへの誘導、さらに改良し、より正確に、より効率よく、より大量に増殖させる独自の条件設定が完成する。対象疾患と内容は、メラノサイトの欠如・機能不全疾患である尋常性白斑や脱色素斑へのメラノサイト移植、乳癌での乳輪再建術における色素の供給、白髪の黒色化、メラノサイトが癌化した悪性黒色腫に対する治療法の確立である。 尋常性白斑は、全人口の約1%が罹患している。皮膚の色が消えてしまう、白くなってまだら状となる等、患者さんの精神的な負担は想像以上である。特に、顔、手、頸などの人目につく部位に生じる尋常性白斑は、患者さんのQOLを著しく低下している。本研究で確立した尋常性白斑や脱色素斑への新規治療法は、有効な治療法がない現在の医療に、大きな貢献を及ぼすことが予想できる。 乳癌では、乳頭方向に癌浸潤が及ぶことが多いため、乳頭や乳輪の全摘出が施行される傾向にある。その乳房再建術の際、乳輪再建では医療用タトゥが施行されている。ここに、人工色素のタトゥでなく、ヒトiPS細胞由来メラノサイトで色素を使用する。人工物とは異なるため、充分なニーズが考えられる。 ヒトiPS細胞由来メラノサイトが、毛バルジに存在する色素幹細胞で置換されれば、白髪を黒色化できる可能性がある。メラノサイトの癌化である悪性黒色腫の発癌機序解明・新薬開発では、癌患者本人の正常ヒトメラノサイトの定期的な大量培養が必要となることが想定される。本方法のヒトiPS細胞由来メラノサイトは、定期的に大量培養が可能であるのでここに貢献できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自のヒトiPS細胞由来メラノサイトを誘導する培養液であるiDMM(human iPS cell-derived melanocyte medium)を完成した(特許出願 特願2014-003133 特願2017-006673)。この培養液は、serum/FBSが無くかつ生体内物質のみで構成されている。 より大量・より高効率のヒトiPS細胞由来メラノサイトを作成するための新メソッドを開発した。培養皿内の黒色細胞塊をパイペッティングにて、新規に開始したiPS細胞iDMM培地へ移植する。すると、パイペッティングした黒色細胞塊は、ほぼ確実に培地に接着し成長した。培養液(培地)交換の際に使用後の培養液(培地)を捨てずに回収する。そして回収した使用済みの培養液を遠沈する。すると、回収チューブに沈殿した黒色塊が確認できる。上澄み中に浮遊していた黒色細胞すなわちヒトiPS細胞由来メラノサイトと考えられる。この沈殿黒色塊を新規の培養液に再度、融解し、新規に開始したiPS細胞iDMM培地の培養液(培地)として使用する。すると、遠沈して回収した黒色細胞塊は、ほぼ確実に培地に接着し、ところどころで成長した。 本システムでのヒトiPS細胞由来メラノサイトを、KSN Slcヌードマウス皮膚に注射し、メラニン色素の産生を試みた。皮下および皮内注射にて、背から側腹部に青から黒の色素産生に成功した。剖検では、皮膚、皮下組織、筋肉に、充分の色素産生を肉眼で確認した。病理組織学では、フォンタナマッソン染色、MelanA染色、HMB45染色を使用して、注射した部位に一致して、皮膚内にヒトiPS細胞由来メラノサイトが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
尋常性白斑や脱色素斑への次なる臨床応用として、より実践に則したハプロタイプホモのヒトiPS細胞を購入し、より大量・より高効率のヒトiPS細胞由来メラノサイトを作成する。 メラノサイトの癌化である悪性黒色腫の治療で、根治困難な症例を中心に、免疫チェックポイント阻害薬が普及している。最近、免疫チェックポイント阻害薬のなかのPD-1治療において、白斑発症例が白斑非発症例より有意に生存率が良かったことが報告された(Freeman-Keller M et al. 2016)。この結果は、メラノサイトとメラノーマ細胞(悪性黒色腫細胞)のメカニズムに関連した箇所があり、抗がん剤が作用した可能性が高い。すなわち、抗がん剤免疫チェックポイント阻害薬が、メラノサイトの癌化メカニズムを攻撃すると同時に、反対にメラノサイトでのメラニン産生機序への免疫寛容を破綻させて、白斑が生じることが想定される。そこで、治療以前に自分のメラノサイトが培養維持化できていれば、この細胞を使用して、in vitroの実験で、免疫チェックポイント阻害薬の効果や選択が確認できる。 乳癌では、乳頭方向に癌浸潤が及ぶことが多いため、乳頭や乳輪の全摘出が施行される傾向にある。その乳房再建術の際、乳輪再建では医療用タトゥが施行されている。しかし、富裕層であれば、既存の色素ではなく、各個人のメラノサイト産生した色素を希望すると推測する。本研究でのiPS細胞での作成を検討している。 白髪では、毛バルジに存在する色素幹細胞が機能せず、毛の色が出てこないことが報告された(Nishimura EK. 2011)。本研究でのiPS細胞由来メラノサイトであれば、分化の程度を変化させることで、色素幹細胞が生成できる。これを使用して皮膚に移植することで白髪を黒色にできる。
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Causes of Carryover |
基盤の細胞株となるハプロタイプホモiPS細胞の選定と購入に時間がかかっている。理研に寄託を予定している。その細胞は理研バイオリソースセンターiPS細胞リスト http://cell.brc.riken.jp/ja/hps/search_hps01 にあるヒト歯髄細胞由来iPS細胞株454E2(HPS0077) http://www2.brc.riken.jp/lab/cell/detail.cgi?cell_no=HPS0077&type=1 が第一候補である。 再度のヒトiPS細胞から色素細胞・色素幹細胞に分化誘導させ、ヒト色素細胞・色素幹細胞をヌードマウス・NOD/Scidマウスに皮内・皮下注射する実験系に、充分な費用がみこまれる。
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Research Products
(9 results)