2017 Fiscal Year Research-status Report
Effects of parental rearing and personality traits on DNA methylation in the BDNF gene.
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17K10263
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鈴木 昭仁 山形大学, 医学部, 講師 (10396567)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エピジェネティックス / 養育環境 / 人格 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳由来神経栄養因子(brain derived neurotrophic factor、BDNF)は神経細胞の発生や成長、維持、再生、シナプスの可塑性に関与する。近年、うつ病患者においてBDNF血中濃度が低下し、BDNF遺伝子のメチル化が上昇すると報告されている。一方、幼少時に受けた養育環境により形成された特徴的な人格はうつ病の病前人格であることが示されている。これらの研究結果は、養育態度、特徴的な人格が、BDNF遺伝子のメチル化へ影響を与えることによりうつ病の発症準備状態を形成する可能性を示唆するが、包括的に検討した研究はこれまでに行われていない。そこで本研究において、健常日本人において幼少時に受けた養育態度と人格特徴がBDNF遺伝子のエピジェネティックス機構に与える影響を検討する。 研究の方法として、精神的および身体的に健常であるとスクリーニングされた日本人約300例を対象に、TCIとPBIを用いて、それぞれ対象の人格と幼少時期の養育態度を評価する。対象の末梢血液を採取し白血球より抽出したDNAを用い、BDNF遺伝子のメチル化をパイロシークエンス法を用いて同定する。得られた結果より、1.PBIで評価した養育態度がBDNF遺伝子のメチル化に与える影響、2.TCIで評価した人格特徴がBDNF遺伝子のメチル化に与える影響、3.PBIとTCIの両要因がBDNF遺伝子のメチル化に与える影響、について検討する。 研究計画に基づき、平成29年度には対象の募集、人格と幼少時期の養育態度の評価、静脈血採血・DNA抽出、資料収集・情報交換を行った。本年度に得られた結果について解析を行い、海外雑誌に投稿し、1編の論文が受理され、1編の論文が投稿中である。また、平成30年度に学会にて公表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は研究計画に基づき、精神的および身体的に健常であるとスクリーニングされた日本人を対象に、TCIとPBIを用いて、それぞれ対象の人格と幼少時期の養育態度を評価した。対象の末梢血液を採取し白血球より抽出したDNAを用い、BDNF遺伝子のメチル化をパイロシークエンス法を用いて同定した。同時に資料収集と情報交換を行った。本年度に得られた結果の解析を行い、海外雑誌に投稿し、1編の論文が受理され、1編の論文が投稿中である。以上より当初の計画以上に進展している、と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に引き続き、平成30年度も研究計画に基づいて対象の募集、人格と幼少時期の養育態度の評価、静脈血採血・DNA抽出、資料収集・情報交換を行う予定である。なお、統計学的に、PBI、TCI、BDNF遺伝子メチル化を回帰分析で統計解析を行う場合で、effect side=0.30(medium effect size)、α=0.05、検出力70%以上に必要な症例数は282例以上であるため、300例を最低募集人数として研究を推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度は、本研究で募集した対象者が少数であったため、採血、DNA抽出や遺伝解析用試薬等に要した物品費が少額であった。しかし、平成30年度には対象者数が増加する予定であるため、それらの物品費のために次年度使用額が生じた。
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