2018 Fiscal Year Research-status Report
ドパミン過感受性精神病と耐容性不良群に着目した治療抵抗性統合失調症の病態解析
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17K10266
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
金原 信久 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 講師 (70507350)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 治療抵抗性 / ドパミン過感受性 / ジストニア / CT画像 / エクソーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は治療抵抗性統合失調症は幾つかの明確なサブタイプから構成されるとの仮説のもと、神経画像と遺伝子学的アプローチによって、特にドパミン過感受性精神病と耐容性不良タイプの病因を検証する目的に実施されている。 1)ドパミン過感受性精神病を対象とする画像研究は、研究実施施設に保管される頭部CT画像をDICOM画像変換をし、専用ソフト(Analyzer)にてドパミン過感受性を有する患者の悩萎縮の程度を縦断的に評価している。現在50~100名の患者から同意を得て、順次解析を実施中である。またMRI画像を用いた解析も並行して進めており、現在約30名から同意を得たところである。2)薬剤代謝酵素がドパミン過感受性精神病への寄与があるかを明らかとすべく、リスペリドンで長期治療中の36名の患者を対象に、代謝能が若干低下するCYP2D6*10の影響を検証した。同多型を有する21名は有さない15名に比して、リスペリドンと活性代謝物9-水酸化リスペリドンの血中濃度が高く、(有意差はなかったものの)は同多型を有する群(21名)では11名(52.4%)にドパミン過感受性を認め、有さない群(15名)では4名(26.7%)であった。この結果は薬剤代謝酵素の多型が薬剤血中濃度に影響を与え、高濃度治療者ではドパミン過感受性が形成されやすい可能性を示唆している。3)耐用性不良群の遺伝子解析では遅発性ジストニア患者(統合失調症以外の疾患も含む)3名を対象にエクソーム解析を実施しており、共通する稀な変異を幾つか絞り込み、現在シーケンスを別途行い変異の存在の再現性を確認しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
神経画像研究では、対象候補者が大変多く、同意取得のステップで時間を要している。一方遅発性ジストニアの遺伝子研究では、対象患者が少ないため、リクルートに若干の苦戦を強いられているため。
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Strategy for Future Research Activity |
CT画像研究は倫理審査上の手続きを経て、より多くの被験者の画像を高率よく収集していく工夫を施している。MRI画像研究は特に難治性患者に絞り、画像収集をし、解析の効率性を高めていく方針。遺伝子研究はサンプリングは伸びてきているため、2019年度前半でより大きな対象群で、エクソーム解析で絞り込まれた変異を確認して行きたい。
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Causes of Carryover |
CT画像フィルムを電子ファイル(DICOM)化する費用、遺伝子解析を行う試薬費用が研究計画の若干の遅延のため未使用のまま発生したものに該当します。2019年度いずれのテーマもペースを上げて進展させる予定でおりますので、上記目的のために活用したいと考えています。
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Research Products
(6 results)