2019 Fiscal Year Research-status Report
Changes in molecular structure due to polymorphism-dependent gene expression in early-onset schizophrenia
Project/Area Number |
17K10267
|
Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
上里 彰仁 国際医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (90547449)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海野 真一 昭和大学, 医学部, ポストドクター (00735855)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 統合失調症 / グルタミン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請者らはこれまで、統合失調症発症の病態にグルタミン酸神経伝達の障害が関連しているという仮説のもと、統合失調症患者においてグルタミン酸伝達関連遺伝子の発現解析や関連解析を行ってきた。この研究を通じ、グルタミン酸受容体足場タンパクをコードする遺伝子が、統合失調症において発症年齢依存的な発現の違いを示し、また遺伝的な関連が見られることを明らかにした。 本年度は研究代表者が所属機関を変更したため、研究再開体制が整うまで主として今まで得られた結果を利用したバイオインフォマティクスを行った。グルタミン酸受容体のコアゴニストであるD-セリンの放出に関連する遺伝子PAPST1に関し、タンパク質相互作用の公開データベースSTRINGを用いて解析し、BCL6, PAPSS1, PAPSS2, SLC35A3, HYOU1, SLC35A1をseed genesとして同定した。Library of Integrated Network-Based Cellular Signatures (LINCS)のデータベースを利用したプラットフォーム、iLINCSを用いてこれらの遺伝子のknockdown signatureを解析し、978のランドマーク遺伝子(L1000)のうち、upregulateする遺伝子、downregulateする遺伝子それぞれtop50を抽出することができた。これらをpathway解析したところ、upregulateする遺伝子はforkhead box O (FOXO) や Wntシグナルパスウェイを含み、downregulateする遺伝子は細胞周期制御やDNA修復に関連していることがわかった。 疾患との関連を考察すると、PAPST1は細胞内のsulfation過程における基質を輸送する働きがある一方、双極性障害の治療薬であるリチウムはsulfation関連酵素に強く作用するものであることから、PAPST1が統合失調症だけでなく、気分障害の病態と治療にも関連している可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は研究代表者が所属機関を変更したため、研究再開体制を整えるのに時間を要した。年度内に他大学の研究者と共同研究体制を構築し、研究を再開した。その間は今まで得られたデータを用いてバイオインフォマティクス解析を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究分担者が所属する研究機関と連携し、PAPST1遺伝子について、統合失調症における発現解析、遺伝子関連解析を行う。同様に、気分障害を対象とした発現解析、遺伝子関連解析を行い、リチウムとの関連性も含めた検討を行う。また、グルタミン酸神経伝達に関連した他の遺伝子についても発現解析や遺伝子関連解析を進める。更にこれらで得られたデータを用いてバイオインフォマティックス解析を行い、関連遺伝子がどのように精神疾患の病態に関わっているかを考察する。
|
Causes of Carryover |
研究代表者の所属機関が変更となり、研究体制を再構築していたため、本年度は情報収集のための費用のみ生じ、実験に使用する費用は生じなかった。次年度は引き続き発現解析と遺伝子関連解析のために使用する計画である。
|
Research Products
(1 results)