2018 Fiscal Year Research-status Report
HPG・HPA系相互作用とホルモン補充療法反応性を用いた難治性精神疾患の病態解明
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17K10268
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 雄太郎 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (60377158)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | うつ病 / 統合失調症 / 重症度 / 治療抵抗性 / cortisol / prolactin / IGF-1 / ホルモン補充療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病や統合失調症患者の中には、向精神薬への反応性に乏しく難治性とされる治療抵抗群が存在する。本研究は、精神疾患と性ホルモンとの関連に着目し、精神疾患の難治化の病態解明ならびに新たな治療法やバイオマーカーの確立を目的としている。 これまでに、我々は、cortisol、cortisol/DHEAS比、Insulin-like growth factor-1 (IGF-1)がうつ病の重症度に影響を与える因子であること、cortisol、IGF-1が自殺と関連する因子であることを明らかにした。これらの結果をまとめた論文が、Journal of Clinical Psychopharmacologyにacceptされ、今後同誌に掲載予定である。また、我々は、抗うつ薬で治療抵抗性があり、かつ男性ホルモン値が低下しているうつ病患者に対して当院泌尿器科の協力のもとテストステロン補充療法を施行し、その有効性や副作用を検討した。これは、難治性うつ病患者に対する新たな治療法の可能性を確立するための第一歩となる非常に意義のある研究であり、第114回精神神経学会総会で報告を行い、優秀演題賞を受賞した。 さらに、我々は、prolactinとうつ病の重症度との関連、ベースラインのcortisolの差異が治療経過に与える影響、cortisolとIGF-1がともに統合失調症の重症度と関連することを明らかにし、第15回うつ病学会や第28回日本臨床精神薬理学会で報告を行った。これらの成果は、第115回精神神経学会総会でも報告予定であり、また、現在、論文を作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
うつ病患者だけでなく、統合失調症患者および健常群のエントリー数も増えてきている。一方で、ホルモン補充療法(hormone replacement therapy:HRT)の適応となる症例が集まらず、HRT導入に至れた症例は僅かである。
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Strategy for Future Research Activity |
エントリー数を増やしていき、各ホルモン値と精神疾患との関連について検討を進めていく。また、横断面だけでなく縦断面でも評価を行い、各ホルモン間のバランスや治療経過でのホルモン値の変動、ベースラインのホルモン値の差異と治療経過の関連などを含めて解析していく予定である。 ホルモン補充療法の適応となる症例が少ないので、必要に応じて、他施設からも広く症例を募集し、適応できそうな症例がいれば随時産婦人科や泌尿器科に相談し、HRT導入を進めていく。
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Causes of Carryover |
本研究の最も重要な要素は、研究同意者からの性ホルモンの採血である。しかし、研究計画の時点で予想していたよりも同意を得られる者の数が少なく、解析に必要なサンプル数に達するまでに時間を要しているため。
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