2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K10272
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩本 邦弘 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (50569796)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 双極性障害 / 運転技能 / 認知機能 / 向精神薬 / 運転適性 |
Outline of Annual Research Achievements |
自動車事故新法や添付文書により、精神障害者の自動車運転が一律に制限され、患者の運転適性判断は喫緊の課題となっている。特に、社会活動性が高い双極性障害患者の運転技能は検討されておらず、臨床現場において運転可否の判断は困難である。そこで、本研究は、双極性障害患者の運転技能の実態を検証し、運転技能に影響する要因を明らかにすることで、臨床現場でも評価可能な、運転適性を判断する臨床指標を抽出することを企図している。 4年目の本年度については、病状が安定した双極性障害患者58名と対照群となる健常者80名を対象に、運転シミュレータを用いて、追従走行課題、車線維持課題、飛び出し課題の日常運転に必要な運転技能の3課題を行った。また、認知機能検査として、Continuous Performance Test、Wisconsin Card Sorting Test、Trail Making Testの3 課題を行った。さらに、Young躁病評価尺度、Hamiltonうつ病評価尺度、Beckうつ病自己評価尺度、社会適応度自己評価尺度、Stanford眠気尺度を評価し、処方薬および普段の運転行動も調査し、運転技能との関連を検討した。 中間解析では、走行距離などの背景情報で補正後に健常群と比較したところ、患者群では追従走行課題成績および車線維持課題成績が統計学的有意に低下していたが、健常群の成績分布範囲を超える者は限られ、患者群の運転技能は一概に低下している訳ではないことが示唆された。患者群では健常群に比し軽度の認知機能障害が認められたが、Continuous Performance Test成績と追従走行課題成績に負の相関が認められ、注意機能が運転技能予測指標となる可能性が示唆された。処方薬と運転技能に関連性は見出せず、病状の安定性や特に注意機能の影響が大きいことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍状況において、サンプル収集が伸びなかったため
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍状況の好転は見込みにくいため、現状のサンプルについて詳細に解析を進めることで、本研究の目的である、双極性障害患者の運転技能に影響する要因を明らかにし、運転適性を判断する臨床指標を抽出し、論文化を行うことを企図している。
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Causes of Carryover |
コロナ禍状況にてサンプル数が伸びなかったことから次年度使用額が生じた。今後もサンプリングは難しい状況のため、中間解析に対する成果発表のための旅費、論文化に対する英文校正、学会誌投稿料等に対して使用する計画である。
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