2018 Fiscal Year Research-status Report
ADHD同胞多発家系のリスク遺伝子の同定と機能解析;発達特性の多次元評価
Project/Area Number |
17K10276
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
今村 明 長崎大学, 病院(医学系), 教授 (40325642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉浦 孝一郎 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (00304931)
黒滝 直弘 香川大学, 医学部, 教授 (20423634)
小澤 寛樹 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (50260766)
金替 伸治 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (70404275)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 注意欠如・多動症 / ADHD / 発達障害 / Familial study / 全エクソンシーケンス |
Outline of Annual Research Achievements |
注意欠如・多動症attention-deficit hyperactivity disorder(ADHD)は、不注意と多動性・衝動性を主症状とする発達障害である。今回我々は、ADHD家系から次世代シーケンサーを用いて、候補遺伝子を同定することを研究の目的としてい る。ADHD家系では、家系内に複数の発達障害が混在しており、診断閾値以下の家系構成員もいるため、発達障害の特性を多次元的に評価する「発達障害の特性別評価法Multi-dimensional Scale for PDD and ADHD(MSPA)」を用いて、家系の構成員全体を評価し、発達障害特性の伝達形式を想定した。 平成30年度は、ADHD多発大家系2家系から検体を採取し、次世代型シーケンサーにて遺伝子解析(全エクソンシークエンス)を行うことにより原因遺伝子の同定を試みた。MSPAを用いて、家系の構成員全体を評価し、不注意、衝動性などのADHD傾向だけではなく、共感性などの自閉スペクトラム症の特徴も併存していることがわかった。 2家系のうち1家系(家系1)では、これまでに発達障害との関連が報告されている遺伝子において1塩基置換変異が同定された。また、もう一つの家系(家系2)においては家系内の全患者に共通する候補変異が複数同定されたため、病的変異の絞り込みが必要であった。 今後はADHDの多検体を用いて候補遺伝子のassociation studyを行う予定である。また、遺伝子編集技術を用いて候補遺伝子編集モデルマウスを作成し、行動解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、ADHD多発大家系2家系から血液を採取した。家系情報から疾患発症に大きな影響を与えうるrare risk variantsの存在が推測されたため、採取した血液からDNAを抽出し、次世代型シーケンサーにて遺伝子解析(全エクソンシークエンス)を行うことにより原因遺伝子の同定を試みた。 2家系のうち1家系(家系1)では、これまでに発達障害との関連が報告されている遺伝子において、家系内の全患者に共通する1塩基置換変異が同定された。また、もう一つの家系(家系2)においては家系内の全患者に共通する候補変異が複数同定されたため、病的変異の絞り込みが必要な状況である。 上記の遺伝子解析にて同定された候補変異の病的意義を考察するため、家系1・2の臨床情報をより詳細に蓄積している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子解析にて同定された候補変異の病的意義を考察するため、引き続き家系1・2の臨床情報を収集していく予定である。また、家系1・2で同定された候補遺伝子と発達障害との関連を解析するため、ADHD散発例の検体を多数収集し、association studyを行う予定である。合わせて、上記変異の生物学的意義を解析するため、遺伝子編集技術を用いて遺伝子編集モデルマウスを作成し、マウスの行動にどのような変化が起こるか解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
マウスの出産が予想外にうまくいかず、当初予定していたDNA解析用の試薬の購入を見送った。令和元年度には、平成30年度の残額をDNA解析用の試薬を購入するために使用する予定である。
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[Journal Article] Whole-exome sequencing and gene-based rare variant association tests suggest that PLA2G4E might be a risk gene for panic disorder2018
Author(s)
Morimoto Y, Shimada-Sugimoto M, Otowa T, Yoshida S, Kinoshita A, Mishima H, Yamaguchi N, Mori T, Imamura A, Ozawa H, Kurotaki N, Ziegler C, Domschke K, Deckert J, Umekage T, Tochigi M, Kaiya H, Okazaki Y, Tokunaga K, Sasaki T, Yoshiura KI, Ono S.
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Journal Title
Translational Psychiatry
Volume: 8
Pages: 41~41
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Whole exome sequencing of case-unaffected parents trios reveal de novo genetic variants in gender dysphoria2018
Author(s)
Morimoto Y, Ono S, Yoshida S, Kinoshita A, Mishima H, Yoshiura K, Imamura A, Ozawa H, Kurotaki N, Kinoshita H
Organizer
WFSBP Asia Pacific Regional Congress of Biological Psychiatry, Program & Abstract Book
Int'l Joint Research
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[Presentation] 当院精神科一般外来におけるADHD患者の有病率調査2018
Author(s)
尾林 誉史, 福嶋 翔, 濱口 学, 田崎 希美, 松峰 須美代, 金澤 恭子, 佐田 美佐子, 竹村 桂子, 松本 一隆, 今村 明, 岡崎 祐士
Organizer
精神神経学雑誌特別号
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[Presentation] 二次救急医療機関を対象とした自殺未遂者支援の取り組み 未遂者支援と連携状況に関する調査を通して2018
Author(s)
福田 和久, 井手 みのり, 池井 ありさ, 岩倉 由佳, 楠本 優子, 船本 優子, 増田 瑶子, 木下 裕久, 黒滝 直弘, 今村 明, 小澤 寛樹
Organizer
心身医学