2020 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症の発症リスクとなるゲノムコピー数変異が脳内ネットワークに与える影響
Project/Area Number |
17K10295
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 真江里 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (50778272)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ゲノムコピー変異 / 統合失調症 / MRI / Voxel-based-morphometry / functional MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者等は、大規模なゲノムコピー数変異(CNV)解析を実施し、統合失調症の発症に強い影響を及ぼすCNVを多数同定した。CNVが、脳の発達に重要な遺伝子 の機能に影響を及ぼすことで神経発達障害が起こり、発症に繋がると推測される。本研究では、この結果をもとに、3TMRI装置を用いて高解像度T1画像、拡散テンソル 画像、安静時fMRI画像を取得し、発症関連CNVが統合失調症の脳の構造や脳内ネットワークの結合性に与える影響を検討した。 今年度は、新型コロナウイルス 感染の拡大により研究活動が一部制限されたこともあり、CNVをもつ患者の新たなMRIデータは取得できなかった。本研究課題により集積したMRIデータ(T1画像)を用いて、統合失調症患者(SCZ)と健常者(CON)をサポートベクターマシンを用いて判別する方法を開発し、英文雑誌に掲載された。(PLoS One, 2020, 15 (11):e0239615), doi: 10.1371/journal.pone.0239615.)また、scaled subprofile modeling/principal component analysis (SSM/PCA)を用いてSCZの病態に関連する脳構造パターンを検討した。SCZ 77名(男=43名、平均年齢41.4歳)とCON 80名(男=45名、平均年齢39.4歳)のMRIデータ(T1画像)を解析した。抽出した脳構造パターンは、両側の中前頭回、下前頭回、内側前頭回、側頭回、および楔前部、および、両側上前頭回、頭頂回、楔前部から構成されていたから構成されており、これらの脳部位が統合失調症の病態に関連している可能性を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大により、名古屋大学の研究活動指針により研究活動が一時期制限され、研究計画に遅延が生じた。また、 ゲノムコピー数変異を持つ患者は、精神症状が重篤であることが多く、病状によりMRIデータが取得できないことがあり、研究計画が遅延した原因の一つと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度が研究最終年度であり、研究代表者が所属する研究室では、ゲノムコピー数変異解析を継続しており、本研究も引き続きデータ収集および画像解析を継続する予定である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大により、研究活動が制限され、研究計画に遅延が生じたため、次年度使用額が生じた。次年度は、引き続きMRI画像データ収集を継続するため、MRI装置使用料・被験者への謝金として使用、また研究成果報告のための諸経費として使用する予定である。
|