2017 Fiscal Year Research-status Report
注意の切替え機能に着目したASDの柔軟性低下に関わる脳神経メカニズムの解明
Project/Area Number |
17K10326
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鄭 志誠 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (00621575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 純也 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 講師 (90783340)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 柔軟性 / 視点の転換 / 注意機能 / 意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、当初計画をした行動課題(Implicit Association Test;IAT, Wisconsin Card Sorting Test;WCST, Ultimatum game;UG)をASD群25名、健常群24名に対して施行しデータ収集を行った。さらに新たに採用した空間視点転換課題についてもデータを採取した。IAT(潜在的連合テスト)の結果は、予測通り、自閉症群では、健常群に比較し有意に高いIAT効果が認められ、自閉症群の潜在的な柔軟性気質の減弱、並びに注意制御能力の低下傾向が推測された。また、UG(経済ゲーム)についても、自閉症群において、先行研究同様に不公平分配に対する有意に高い承諾率が認められ、柔軟性に関して有益な洞察を加える事ができた。なおWCSTにおいては、有意な群間差等は、認められなかった。しかし空間視点転換課題では、ASD群における顕著な視点・注意バイアズを示唆する結果が得られた。これらは、既存の関連研究とも矛盾せず、高次の柔軟性との関係を理解する上で、新たな情報源となった。
上記のIATとUGに関する結果は、国際自閉症学会にて発表し(研究発表の項目を参照下さい)、論文化に至った(現在は、投稿中)。そして空間視点転換課題の結果も、現在論文を執筆中である。また、本研究プロジェクトのfMRIデータ解析に用いる同期解析についても、国外の連携研究者と開発を進展させ、これに関する論文執筆も行った。さらに、平成29年度中には、本研究課題の基となった我々の健常群を対象とした柔軟性に関する投稿中の論文が受理された(Tei, et al., Sci Rep, 2017)。平成30年度は機能的MRIにおいても被験者数を増やし、仮説の検証を進めて行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
行動課題については、順調に進展しているが、機能的fMRIについては、被験者の実験参加が可能な日程と、機能的fMRIの撮像スケジュールの調整が必要となる場合が多く発生した為、当初の予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初予定していた計画に基づき、平成29年度に採取した行動データをさらに増やしていく。さらに機能的fMRIにおいても同様に被験者数を増やし、解析を進めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
被験者のリクルート、実験実施日の調整に時間を要した事も関係し、被験者の謝金の算出に遅れがでた。また物品費等に関しても機器の購入に一部遅れが出たため、次年度使用額が発生した。次年度使用分は、これらの費用に充当する予定である。
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