2018 Fiscal Year Research-status Report
注意の切替え機能に着目したASDの柔軟性低下に関わる脳神経メカニズムの解明
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17K10326
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鄭 志誠 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (00621575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 純也 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 講師 (90783340)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 注意切り替え / 視点転換 / 柔軟性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ASD群25名、健常群24名に対して採取した行動課題(Implicit Association Test;IATとUltimatum game; UG)による研究が、論文化された(Tei, et al., Nature, Sci. Rep., 2018)。本論文では、IATの結果に基づき、自閉症群の潜在的な注意制御能力の変調・低下の可能性を報告し、さらに経済ゲーム(UG)についても、自閉症群における、柔軟性に寄与する意思決定の変調に関して新たな洞察を加える事ができた。そして、一般線形モデルを補完し、データの個人差も加味できる同期解析Inter-subject correlation(ISC)についても、国外研究者と解析手法の開発を行った。この結果、柔軟な意思決定における脳活動を評価する新たな手法を提案する論文を執筆し、受理に至った(Tei, et al., Neurosci Res., 2018)。さらに、本年度は、新た実施した空間視点転換課題についても実験を行い、論文を執筆し、受理に至った(Tei, et al., Autism Research, 2019)。ここでは、自閉症群のegocentricな空間視点転換biasのレベルが、他者とお金の分配を判断するSocial discounting課題における利己的な判断のレベルと、むしろ負の相関がある事を示した。本結果は、自閉症群の柔軟性の変調と注意・視点転換を議論する上で、有意義な知見を提供することができた。最後に、当初実験計画に記した道徳課題を用いた機能的MRIの実験についても、自閉症群20名、健常者30名の撮像を行い、同時に解析を進めている。ここでは仮説にそった注意切り替えに関わる脳部位に有意な群間差があるかを調べている。Preliminaryな結果については、今年度中に学会発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
機能的MRIの撮像枠の混雑・調整で、データの採取に関してやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、既に論文化した報告を統合し、自閉症群の注意切り替え機能と柔軟性の関係について、洞察をさらに洗練させる。そしてこれらを発信し、他の研究者との連携により、研究を発展させていく予定である。具体的には、経頭蓋磁気刺激法などによる介入研究を進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
本年度は論文執筆に重点を置いたため、旅費と謝金の支出に関して当初の計画から変更が生じた。本年度は実験を遂行し、また国際会議も予定しているので、これらに充当したいと考えている。
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Research Products
(7 results)