2020 Fiscal Year Annual Research Report
Neural mechanisms of cognitive inflexibility and attention-shifting in autism spectrum disorder
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17K10326
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鄭 志誠 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (00621575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 純也 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 講師 (90783340)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 柔軟性 / 注意 / 視点 / 社会性 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症スペクトラム(ASD)の社会的な適応能力(柔軟性)を高める支援は, 急務となっている. 私たちはこれまで健常者の研究で不適応行動を経済ゲームや道徳ジレンマ等の意思決定課題で調べてきた. そして柔軟な判断には、注意や視点の切替え機能を介し、自発的な共感や状況把握の機能を支える、脳内の側頭頭頂接合部(TPJ)も重要である可能性を見出した. TPJは 注意を自発的に自分から他人へ向け共感したり、周囲の状況変化を把握するのを促進し、柔軟な判断をサポートする可能性がある. これをふまえ本研究では、これらの知見を発展させ、健常群やASDにおいて注意の切替え機能と柔軟性の関係を調べ、柔軟性の低下に寄与しうる脳内メカニズムを調査した。本研究の成果は、次の4点に要約される. 1) 健常(定型発達)群とASD群を対象とした、視点シフト課題や経済ゲーム等を用いた認知心理学的研究から、低次の注意切り替えと社交性を要する柔軟な判断の関係性についての論文を出版した. 2) ASD群を対象とした、潜在連合テスト等を用いた神経心理学的研究から、上記の低次の注意切り替えと社交性を要する柔軟な判断の関係性を、サポートする結果を見出し、論文を出版した. 3) 脳機能画像を用いた研究から、社会的柔軟性・不安には, 視点の切り替え、認知・情動的共感の変調の背景にある脳神経ネットワークが寄与する可能性を見出し、論文を出版した. 4) 健常群を対象とした経頭蓋磁気刺激装置と経済ゲーム課題を組み合わせた研究により、対人関係がかかわる柔軟な意思決定におけるTPJの機能的役割についての論文を出版した. これらの成果は、柔軟性低下に関わる脳神経メカニズム理解を促進し. 社会的適応能力を効果的に高める臨床介入における有用な知見構築に寄与すると考えられる.
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