2018 Fiscal Year Research-status Report
精神科における血栓塞栓症の解明:人工流路による画像解析
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17K10328
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉田 尚子 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (20750532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平方 秀男 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (70271509)
巽 和也 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90372854)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 深部静脈血栓 / 肺塞栓 / 人工流路 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
シリコン樹脂を加工したマイクロスケールの人工静脈モデルの開発を進め、より生体に近い人工流路デバイスとなるよう改良を進めた。直角になる部分をなるべく少なくして乱流による影響を受けて意図せぬ場所で血小板が活性化されないよう工夫した。 上記の流路を用い、工学部にて設計・作成された特殊なポンプを用い、健常者血を成分分離して再合成して組成を調節したり、向精神薬を負荷したり、圧、流量、温度を調節したりすることによって、血栓のリスクと推測されている状態を再現した。結果、圧、流量、温度、薬剤添加はそれぞれ血栓の性状や生成タイミングに影響することがわかった。特に一部の向精神薬や鎮静薬は血小板の活性化と血栓生成に影響することを確認した。 また、トロンビンを蛍光色素で標識し、フィブリン網ができはじめる少し前にトロンビンが急増して流れていく様子を顕微鏡で捉えた。 実験で得られた知見について、工学系、基礎工学系の共同研究者と議論し、数理モデル化やシミュレーション方法についてより確実で再現性の高い方法の開発を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験作業の中心となっていた大学院生が第2子を妊娠・出産し、産休・育休に入った。 そのため研究代表者が自ら実験作業を行っていたが、臨床業務が非常に多忙で研究時間の確保に非常に苦労を要する上に、不慮の事故で右手を受傷して、筆記、パソコン操作、ピペット操作などが全くできない時期が続いたこと。
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Strategy for Future Research Activity |
トロンビンの生成が血栓ができる初期段階に重要であることが確認できたが、トロンビンの動態を視覚化した例は過去にほとんどないため、工学系、基礎工学系と連携して、流体の中でのトロンビンの生成・拡散について数理モデル化を試みる。 現在は健常被験者の血液を使っているが、実際の高リスクの患者被験者の血液を用いた実験を行い、数理モデルと実際の臨床像を比較する。 予算のめどが立てば、より生体に近い条件を再現するため、人工血管流路の内壁に培養した内皮細胞の貼付を試みる。
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Causes of Carryover |
支給される額と研究計画で見積もっていた額にどうしても開きがあるため、研究計画そのものを見直しながら、遂行可能なプロトコールを作り直す必要があった。 大学院生が出産したり研究代表者が受傷したりするなど健康上の理由があり、計画が遅れ気味であるが、まずは健康状態の回復を待ってから当初の計画を進める。
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Research Products
(2 results)