• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2018 Fiscal Year Research-status Report

老年期精神障害におけるレビー小体病の関与を評価し、予後を追跡する

Research Project

Project/Area Number 17K10331
Research InstitutionOkayama University

Principal Investigator

大島 悦子  岡山大学, 医学部, 客員研究員 (60583094)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 寺田 整司  岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (20332794)
Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywordsレビー小体病 / 嗜銀顆粒病 / 認知症 / 老年期精神障害 / 双極性障害 / うつ病 / 統合失調症
Outline of Annual Research Achievements

本年度は,大きく2つの方向で研究を進めた.第1は,認知症疾患の病態解明の一環として,様々な臨床症候が,どの脳領域と関連しているのかを探求した.具体的には,アルツハイマー型認知症患者を対象として,記憶障害と関連する脳領域を検討した.記憶障害の評価には,最も詳細な記憶検査であるWMS-R(Wechsler Memory Scale-Revised)を使用し,言語性記憶および視覚性記憶のスコアと局所脳血流との相関を調べた.188例のアルツハイマー型認知症患者を対象とした.対象群の平均年齢は74.8歳,MMSE平均得点22.1点であった.年齢・性別・教育歴・全般的認知機能(MMSE得点)の影響を除外して検討すると,言語性記憶の成績は両側後部帯状回・左楔前部の局所脳血流量と,また視覚性記憶の成績は右後部帯状回・右楔前部の局所脳血流量と相関していた.
第2の方向として,老年期精神疾患におけるレビー小体病の重要性を検討することを目的として研究を進めた.岡山大学病院精神科病棟に入院した高齢うつ病患者を対象とし,入院時にハミルトン抑うつ評価スケールで症候を評価した.レビー小体病を示唆する検査所見として,MIBG心筋シンチを使用した.三環系やSNRIを内服している患者は除外し,計52名の高齢うつ病患者が対象となった.平均年齢70.4歳で,男性14人・女性38人であった.MIBG低下群が14例,MIBG正常群が38例であった.両群で,年齢や性別,抗うつ薬内服状況に有意差は無かった.両群の臨床症候を比較すると,精神運動抑制や身体不安の項目で,MIBG低下群が有意に高いスコアを示していた.この結果は,高齢うつ病患者のなかには,レビー小体病を背景病理として有する一群が存在し,特徴的な症候を呈しやすい可能性を示している.臨床的に非常に意義のある結果と考えている.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

初年度(平成29年度)に英語論文1報,次年度(平成30年度)に英語論文1報を公けにすることが出来た.着実に成果を挙げており,「おおむね順調に進展している」と判断した.
認知症の臨床症候に注目した研究としては,平成29年度は,アルツハイマー型認知症における「こころの理論」障害を検討した.結果として,認知症の程度が軽度の段階でも,過半数の患者が一次の誤信念課題を通過できないことが明らかとなり,英語論文として報告した.アルツハイマー型認知症が軽度の段階でも,過半数の患者が一次の誤信念課題を通過できないことを明らかにしたのは世界でも初めてである.
平成30年度は,アルツハイマー型認知症における記憶障害について,その責任病巣を検討した.記憶検査成績との相関を検討し,基本的には後部帯状回や楔前部における局所脳血流量と相関が認められたが,言語性記憶では左優位であり,視覚性記憶では右優位であった.その結果も英語論文として報告した.
次に,高齢うつ病患者において,レビー小体病の寄与を検討する研究も順調に進んでいる.さらに詳しくデータ解析を行い,学会発表および論文発表に繋げていきたい.

Strategy for Future Research Activity

平成31年度の研究については,3つの柱で進めて行きたいと考えている.第1に,認知症の病態理解を進める研究を継続していく.具体的には「こころの理論」に関する神経基盤の検討を予定している.第2に,大学病院の精神科病棟に入院した高齢患者を対象とした調査を続けていく.高齢うつ病患者に関して,さらにデータ解析を進め,学会発表および論文発表に繋げていきたい.
第3に,高齢の躁うつ病患者についても調査を開始したい.躁うつ病に関しても,特に高齢発症群では,器質性病変の影響を強く示唆する病理学的研究が報告されている.臨床的な研究を実施する意義は大きい.予定では,大学病院を外来受診している躁うつ病患者を対象として,臨床特徴などを調査し,高齢発症群と若年発症群とで各種比較を実施したい.この研究に関しても既に,倫理委員会の承認を得ている.平成31年度は,研究補助者を雇用して,研究進展を加速化を図りたいと考えている.

Causes of Carryover

(理由)
平成30年度は,大学病院精神科病棟での調査を実施し,結果を報告した.非常に意義のある調査であったと考えているが,研究補助者の雇用はなく,研究費の使用額としては少額で済んだ.平成31年度に実施する,躁うつ病に関する臨床研究を開始するための準備に多くを費やしたため,大部分の研究費が次年度への繰り越しとなった.次年度は,研究補助者を雇用し,今までのデータ整理やデータ入力を実施してもらい,躁うつ病患者に関する研究を迅速に進めていきたい.
(使用計画)
様々な連絡業務や検査の実施さらにはデータ入力を含め,研究補助者の雇用を予定しており,繰り越した金額を含めて,来年度の予算を組んでいる.さらに,関連する書籍や文献入手のための予算や,学会発表・論文投稿も予定しており,そのための費用や雑費も予算に含めている.

  • Research Products

    (2 results)

All 2019 2018

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Verbal or Visual Memory Score and Regional Cerebral Blood Flow in Alzheimer Disease2018

    • Author(s)
      Hayashi Satoshi、Terada Seishi、Oshima Etsuko、Sato Shuhei、Kurisu Kairi、Takenoshita Shintaro、Yokota Osamu、Yamada Norihito
    • Journal Title

      Dementia and Geriatric Cognitive Disorders Extra

      Volume: 8 Pages: 1~11

    • DOI

      10.1159/000486093

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] アルツハイマー病の経過中に,右上肢の強直性痙攣から始まり,けいれん重積を来した一例,その臨床と病理2019

    • Author(s)
      寺田整司,三宅啓太,原紘志,大島悦子,石津秀樹,山内裕子,北本哲之,佐藤克也,竹之下慎太郎,山田了士
    • Organizer
      第19回 岡山認知症研究会

URL: 

Published: 2019-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi