2018 Fiscal Year Research-status Report
自閉症児に対する新しい療育RDI(対人関係発達指導法)の効果検証
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17K10332
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岸本 真希子 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (10781148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 学 岡山大学, 大学病院, 講師 (60452570)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自閉症 / 療育 |
Outline of Annual Research Achievements |
RDI(対人関係発達指導法)による介入が2年目に入っている。2年目以降も月に1回の介入を継続している。RDIにおいて重要視される養育者が子どもをガイドする能力のうち、特にリミットセッティング(制限を加えること)、スローダウン(ゆっくりと関わる)、役割を与えること、子どもの能力に応じた課題を提供することは高い確率で獲得されてきている。経験共有のコミュニケーションスタイルを取ることは、当初よりもほとんどのケースで改善されているが、持続的に意識付けを行っていく必要があることが、動画分析より確認されている。自閉症児の全般的な発達の変化については、多くのケースにおいて言語能力、他者への関心や意欲の向上が認められた。また問題行動の中では外在化(かんしゃく、攻撃性、多動)において改善度が高いという結果が認められた。一方約半数のケースにおいて、日常生活上ではかえって自己主張が強くなる、友達との間でトラブルが増えるなど一見すると問題行動が悪化したかのように見受けられるケースがあった。ただしこれらのケースにおいてもその後これらの行動もおさまり、その後社会的な適応が向上するといった傾向が認められた。このように一時的に悪化するといった現象について、自我の確立と共に新たな課題に直面したものと解釈されたものの、今後も慎重に分析・解釈を行い、子どもや養育者にとって大きな負担を生じさせない支援を検討してくことが課題である。また介入1年後よりも介入1年半~2年以降の変化が著しいケースが多いため、介入2年~3年後といったより長期的な変化を見ていくことが望ましいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ドロップアウトするケースはなく、順調に介入を継続している
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Strategy for Future Research Activity |
介入期間を3年間に延長し、介入3年後に自閉症スペクトラム症状の程度を評価する行動観察(Autism Diagnostic Observation Schedule Second Edition;ADOS-2)、Vineland-II適応行動尺度を用いて発達の評価を行う。
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Causes of Carryover |
介入期間が2年から3年に延長されたことにより、介入に必要な消耗品や学会発表のため、新たな使用額が生じた。介入・評価を継続するため、心理評価キットや介入に使用する遊具・運動器具の購入や成果の学会発表などに助成金を使用する計画である。
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