2019 Fiscal Year Research-status Report
自閉症児に対する新しい療育RDI(対人関係発達指導法)の効果検証
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17K10332
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岸本 真希子 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (10781148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 学 岡山大学, 大学病院, 講師 (60452570)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 介入研究 / 対人相互関係 / 親子関係 / ヴァインランド2適応行動尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、計画通りに全例において2年間の介入・評価が終了し、介入3年目に入っている。RDA(Relationship Development Assessment)という、RDIプログラムが持つ独自の親子の関係性についての評価にて、養育者は経験共有のコミュニケーションスタイルの採用、リーダーシップと協同参加の機会提供のバランスをとること等が主に改善しており、親子間の関係性の再構築が確認された。対象児においては、対人関係における自分の役割についての責任や精神的負荷を要する課題等に関して、内発的動機付けの高まりが顕著に認められ、この点はRDIによる療育の特徴と考えられた。RDI創始者のGutsteinは、この段階では子どもは見習い役として交流に従事し、問題解決、社会的な協調性に責任を持ち、自分自身で課題を設定して目的を達成するようになる。自己認識に焦点を当て、成長していく自己を体感していくと述べており、本研究でもそのプロセスが観察された。介入開始前と開始1年後の主なデータ解析では、Vineland-II適応行動尺度の評価点は平均で11.2%、領域別では、介入前と比べてコミュニケーションスキルは3.6%、日常生活スキル12.9%、社会性23.1%の改善を認めた。全ての領域において評価点が上昇していたが、社会性の改善が最も顕著に認められた。RDIの課題としては、養育者自身の精神的な状態に配慮する必要があること、ケースによっては介入が急な変化をもたらした可能性があり、タイトレーションの検討の必要性があること、さらに長期的な予後の検討を要すること等が現時点で考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
介入や評価は予定通り進んでいる。介入1年間の解析結果について論文執筆中である。2年後のデータは集計段階で解析は未実施の状況であることから、「おおむね順調に進展」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りRDIによる介入計画を遂行し、2020年度で全ての症例において3年間の介入を完了する。介入開始3年後の子ども達の適応行動、知能検査、社会発達、自閉症の重症度を評価する。介入開始前、開始1年後、2年後、3年後での対象児の適応行動尺度、自閉症の重症度、知能指数、親子関係、養育者の養育負担等の変化について解析・評価を行う。また研究結果をもとに、脳科学的観点から対象児で認められた様々な変化を考察し、自閉症児がいかに社会性や自律性を獲得いくかについて仮説提案を行う。
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Causes of Carryover |
介入が継続しており、心理検査の評価バッテリーや介入に必要な機材や消耗品を新たに購入する計画である
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Research Products
(2 results)