2018 Fiscal Year Research-status Report
幼少期トラウマ体験と遺伝子相互作用が神経ネットワークに与える影響
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17K10340
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
福本 健太郎 岩手医科大学, 医学部, 助教 (00514407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 淳子 岩手医科大学, 医学部, 講師 (80636035)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | トラウマ / 神経発達 / 神経白質走行 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
精神疾患発症を包括的に説明する仮説として神経発達障害仮説が提唱されている。これは胎児期の脳発達異常、特に神経ネットワーク形成異常が精神疾患発症の脆弱性を形成し、疾患発症リスクを高めるという仮説である。これまで脆弱性形成に関与する遺伝的要因、環境要因の研究が行われてきたが、現在では、これら要因の相互作用が重要と考えられている。環境曝露は成人期よりも神経発達期である胎生期から思春期までの時期が重要とされている。 また近年、遺伝要因として遺伝子配列によらない遺伝子発現制御機構であるエピジェネティクスが近年注目されている。エピジェネティクス制御機構の一つとしてDNAメチル化があるが、このメチル化変化は成人期よりも幼児期から思春期までの時期に変化をきたしやすいことが知られている。本研究では環境要因として、幼児期のトラウマ体験に注目する。この環境要因とDNAメチル化変化の相互作用が神経ネットワークへ及ぼす影響を磁気共鳴画像による脳内白質内神経線維走行解析法を用い検証する。 平成30年度は平成29年度に引き続き、児童精神科外来に通院し、本研究同意が得られた対象児童の登録を行った。登録後、対象児童に対しUCLA心的外傷後ストレス障害インデックス(UPID)第4版、子ども用トラウマ症状チェックリスト(TSCC)といった評価尺度を用いたトラウマ体験の判定し、併せて、知的能力を評価するWechsler Intelligence Scale for Children(WISC)第4版日本語版、行動上の問題を評価するChild Behavio rCheck List(CBCL:保護者用、教師用TRF)も評価した。またこれら対象児童からのゲノム回収および拡散尖度画像(DKI)撮像を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度内および平成30年度内で登録されたトラウマ体験のある患児数は16名であるが、画像データのクオリティ確認の結果、現状登録例数が充分でないことより、進捗状況はやや遅れていると判断した。またDNAメチル化解析に関しては、現状解析が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も対象児童の登録を継続するとともに、解析可能な検体数となった時点で解析・論文作成に取りかかる予定である。
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Causes of Carryover |
平成30年度にエピジェネティクス解析を実施する予定であったが、実際に解析に取りかかることができなかった。そのため解析用の試薬購入が遅れ未使用額が発生した。平成31年度に解析を予定しており、試薬代として使用予定である。
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