2017 Fiscal Year Research-status Report
Quantitative Assessment of Taction Bronchiectasis
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17K10350
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
冨永 循哉 東北大学, 医学系研究科, 講師 (20375067)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 牽引性気管支拡張 / 間質性肺炎 / 定量評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
牽引性気管支拡張を評価する上で、CTで撮像した元データより、気管支を抽出する必要がある。そのため、いくつかのサンプル画像を対象に、気管支を中枢側から追跡して抽出する気管支トラッキング法、適切な閾値を設定して気管支を抽出する閾値設定法、morphologically-determined sizeの違いから気道を抽出するMDS法の3つの方法を用いて元画像から気道の切り出しを行った。これら3つの方法は、それぞれ利点、欠点があるが、最終的に、間質性肺炎における気道の拡張を描出するためには、MDS法が最も適しているという結論に至った。 次いで、抽出した気道の内腔拡張の程度や形状、走行の不整について、サンプル画像を対象に、幾つかの数学的パラメータを用いて評価した。まずは、抽出した気道に中心線を設定する。次に中心線に直行する断面の直径を測定し、気道の中枢部からその断面までの距離を横軸に、直径を縦軸にとってグラフを作成する。このように、気道内腔の状態を数値化し、グラフを用いて視覚的に比較する事で、個々の気管支の内腔拡張の程度や形状の評価が可能となった。気道の走行不整に関して、当初、中心線の捩率や平均曲率を用いた評価を試みたが、臨床的に有意性のない微細な変化が強調して算出されたため、これらとは異なる数学的パラメータを用いる必要があった。そこで、中心線からの距離に基づいたパラメータとして、新たに屈曲度を用いることとした。 本研究を進めるあたり、びまん性肺疾患の研究会であるCreation of Radiological Paper from Japan in Diffuse Lung Diseases(CRPJ in DLD)に参加し、放射線診断医のみならず、呼吸器内科医、病理医より極めて有用な助言を受けている。この研究会が、本研究の実績に対して大きな寄与を果たしていることを付け加えておく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
気道の抽出については、臨床的に用いられている気管支トラッキングソフト(東芝メディカルシステムズ株式会社)を利用して行う予定であった。単に気道を抽出し、ワークステーション上描出した3D画像から、指定した気道の直径を表示することは可能である。一方で、画像解析にあたり、定量評価を行うには、3次元上の座標を示す必要があった。当初、本研究にあたり気管支トラッキングソフトの販売元である東芝メディカルシステムズ株式会社に本研究の協力を依頼した段階では前向きの姿勢を示していたが、具体的に3次元上の座標を示す必要がある事を打診したところ、ワークステーションで示すことは不可能であるとの返答であった。更に、東芝メディカルシステムズ株式会社に対して、症例を提供した上で、画像処理と3次元上の座標データの提供を依頼したが、それもできないとの返答であった。そのため、市販のソフトを使用せず、独自で画像処理を行い、気道の抽出と3次元上の座標データを得る方法を模索しなければならない状況に陥った。前項の「研究実績の概要」に記載したように、最終的にMDS法を用いた気道の抽出と、気道中枢部から測定した気管支直径の測定、中心性の屈曲度を用いて気道の内腔拡張の程度や形状、走行の不整を評価することになった。気道抽出の画像処理法、気道の評価のための数学的パラメータの設定のために、独自の方法を確立するために時間を費やしたため、当初の計画よりも遅延した状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
気道抽出の画像処理法を確立し、気道の評価のための適切な数学的パラメータの設定のために、サンプル画像を用いて更なる検証を行う。次いで、実臨床に基づいた研究課題として、急性間質性肺炎による気道の拡張と慢性線維性間質性肺炎における牽引性気管支拡張の検討を行う。急性間質性肺炎に関しては、研究課題「線維性間質性肺炎急性増悪における権威性気管支拡張の数学的評価」として、公立陶生病院呼吸器・アレルギー疾患内科との共同研究が進行中である。当研究課題では、対象症例として97例が既に確保されており、気道描出の画像処理法の確立と、気道評価の適切な数学的パラメータ設定ができ次第、速やかに着手する予定である。また、急性呼吸促拍症候群(ARDS)における気道拡張の客観的評価と生命予後に関する研究に関しても、すでに実績のある済生会熊本病院呼吸器内科と共同研究を行う予定である。
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Causes of Carryover |
現在、画像評価の適切な方法を検討中であるため、実際、研究対象となる症例の評価を行っていない状態である。そのため、画像評価のために備品として使用予定のディスクトップPC及びノート型PC、あるいは消耗品として申請予定の記録メディア等の購入を差し控えている。今後、適切な方法が確立し、対象症例の評価の目途が立った状況で、これら備品、消耗品を購入する予定である。
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