2017 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌の顎骨浸潤と浮腫・炎症の鑑別に有効な客観的画像診断指標の確立
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17K10351
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村田 隆紀 東北大学, 大学病院, 助教 (70390929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪本 真弥 東北大学, 大学病院, 講師 (90157686)
麦倉 俊司 東北大学, 大学病院, 准教授 (20375017)
高橋 昭喜 東北大学, 医学系研究科, 名誉教授 (80148874)
田村 元 東北大学, 医学系研究科, 名誉教授 (20333817)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 口腔癌 / マルチスライスCT / 3テスラMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔癌の顎骨浸潤の評価に最適なCT撮像プロトコルの策定のための顎骨ファントムを制作し、基礎的な撮像実験を行った。歯科治療後の金属充填物からのアーチファクトを想定し、金属球や金属板を顎骨ファントムに装填し、撮像実験を行った。金属からの強いアーチファクトはCTの画質に強く影響し、模擬腫瘍のCT値は金属がない場合に比して低値を示し、標準偏差は高値を示す傾向が見られた(金属を装填しない場合: 模擬腫瘍の平均CT値 166.8 HU、標準偏差 3.96、装填した金属が1箇所の場合: 平均CT値 97.6 HU、標準偏差 11.4)。金属アーチファクトをソフトウエア的に低減するSEMAR法で処理を施すと、金属アーチファクトをある程度低減できたが、やはり金属を装填しない場合よりもCT値は低い値を示した(装填した金属が1箇所かつSEMAR法ありの場合: 平均CT値 123.6 HU、標準偏差 18.2)。装填した金属が2つ以上で、いずれも同一撮像断面にある場合にはSEMAR法を用いてもアーチファクトの影響を除去することが難しいことが分かった(装填した金属が2箇所で同一撮像断面にある場合、SEMAR法なし: 平均CT値 -137.8 HU、標準偏差 189.1、同じくSEMAR法あり: 平均CT値 29.1 HU、標準偏差 173.9)。装填した金属が2つ以上の場合でも、それぞれの金属が同一撮像断面にないようにファントムを傾けて撮像することでアーチファクトが低減できた。この場合もSEMAR法で処理することで真のCT値に近い値が得られた(SEMAR法なし: 平均CT値 71.1 HU、標準偏差 52.9、同じくSEMAR法あり: 平均CT値 133.1 HU、標準偏差 34.5)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MRI撮像プロトコルの策定に関しても歯科治療後の金属充填物からのアーチファクトによる画像の歪みや嚥下などの動きに伴うアーチファクトなどを、許容できる範囲に低減させる撮像条件を策定中である。バンド幅を大きくするなど撮像パラメータの工夫である程度金属アーチファクトを低減できるが、画質に及ぼす影響を検討中である。 病理組織検査では摘除された顎骨をその長軸に対して垂直に切り出すので、病理との対比という点ではMRIも冠状断像で撮像することが望ましいが、画像統計解析に用いるには横断像で撮像するメリットが大きい。すべての撮像法で冠状断像と横断像を撮像するのは撮像時間を考慮すると現実的ではなく、撮像プロトコルの絞り込みを考慮している。
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Strategy for Future Research Activity |
CTに関してはファントムによる撮像実験で得られた知見を活用し、実際の患者さんで歯科治療後の金属アーチファクトを低減する効果的な手法を検討していく。具体的には腫瘍と顎骨の位置関係に応じて、CT撮像の際の頭部の固定法を変化させることや、歯科金属の分布に応じたガントリーの角度の調整などを検討していくことになる。MRIに関しては、病理との対比、画像統計解析への応用を両立するような3D撮像プロトコルを取り入れていくことにしている。
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Causes of Carryover |
画像解析用コンピューターおよび統計解析用のソフトウェアの購入を次年度に購入予定である。
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