2018 Fiscal Year Research-status Report
定量的画像解析に基づく小型肺腺癌のCT画像評価法の確立
Project/Area Number |
17K10352
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
石川 浩志 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (90377151)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺腺癌 / 薄層CT / テクスチャ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度に引き続き、当施設で外科的に切除された原発性肺腺癌症例のうち、最大径3cm以下のすりガラス型結節、部分充実型結節を研究対象とした。 上皮内腺癌~微少浸潤性腺癌の群と浸潤性腺癌の群の2群間の鑑別において、90th percentile CT値とentropyが有用であることを平成29年度に英語論文として発表したが、予後が大きく異なる上記2群間の鑑別は臨床的に重要であり、本研究は薄層CTを用いた定量的画像解析がその鑑別において有用であることを示した点で有意義であることから、平成30年度の日本医学放射線学会総会においても発表した。 また、上記の研究において、テクスチャ解析に必要なのは薄層CTにおける病変の輪郭取りのみであるため、研究代表者と研究協力者より肺腺癌の画像診断のレクチャーを受けた2名の医学生がテクスチャ解析を行った結果と、放射線診断専門医が行った解析結果とを対比した。その結果、放射線診断専門医、医学生ともに単変量解析では2群間にすべての検討項目で有意差を認め、後者(浸潤性腺癌群)が前者に比して腫瘍体積、腫瘍重量、腫瘍の平均CT値、分散、entropy、percentile CT値(10th, 25th, 50th, 75th, 90th, 95th)が有意に高く、残りの因子は有意に低かった。多変量解析では90th percentile CT値とentropyで有意差を示し、90th percentile CT値とentropyに関してROC解析を行ったところ、2群を非常に良好に鑑別することができ、放射線診断医と医学生の間に有意差は認められなかった。解析項目の一致度もほぼ全項目で良好であった。これらの結果は定量的画像解析の客観性や再現性を示す点で重要と考えられたため、研究会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に研究が当初の計画以上に進んだため、(平成29年度後半~)平成30年度にはその結果発表に加え、結果の客観性、再現性に関する検討を行うことができた。 平成30年度に予定していた定量的指標の経時変化を加味した肺腺癌の亜分類診断の可能性については進展しておらず、継続課題である。 平成30年度に準備を予定していた薄層CTとFDG-PET/CTや人工知能とを組み合わせた画像解析の研究については、学会等で情報を収集し、令和元年度に向けた準備を具体的に進めることができた。 以上の内容を総合的に判断して、おおむね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に予定通り進展しなかった定量的指標の経時変化を加味した肺腺癌の亜分類診断の可能性について、引き続き取り組みたいと考えている。 薄層CTとFDG-PET/CTを組み合わせた定量解析や、人工知能を利用した画像解析による診断能向上の可能性について、平成30年度に行った準備に基づき研究を進めていく予定である。
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