2018 Fiscal Year Research-status Report
固形腫瘍の画像診断及びホウ素中性子捕捉療法を目的としたσ-2受容体標的薬剤の開発
Project/Area Number |
17K10355
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小阪 孝史 金沢大学, 学際科学実験センター, 助教 (50579836)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | vesamicol / σ受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も引き続き、PETやSPECTを用いた画像診断とホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の融合を目的として、σ受容体に高い親和性と選択性をもつホウ素含有イメージング剤の開発研究を行った。 実験者は既にσ-2受容体に対して高い親和性を示す新規vesamicol類縁体PIDVの開発に成功しており、その化学構造を基にベンゼン環上にF(フッ素)とB(ホウ素)の両方の元素を含む新規含ホウ素化合物群のデザインと合成を行った。昨年度は、デザインしたホウ素化合物の合成に難があったが、今年度はPIDVのデカリン骨格をvesamicol本来のシクロヘキサン骨格に戻し、オルト位とパラ位にそれぞれFとBr(臭素)を有する化合物を合成した。続いてBrをBで置換してホウ素化合物(構造確認中)へと誘導した。vesamicolは小胞アセチルコリントランスポーター(VAChT)とσ受容体(σ-1, σ-2)に親和性を示す。そこで、合成したホウ素化合物について、組織にラット脳もしくは肝ホモジネートを、ラジオリガンドに[3H](-)-vesamicol、[3H](+)-pentazocineもしくは[3H]1,3-ジ-o-トリルグアニジン(DTG)を用いたin vitro薬物阻害実験によりスクリーニングを行った。その結果、パラ位にFを、オルト位にBrもしくはBを有するvesamicol類縁体は、いずれもσ-1受容体に高い親和性を示し、σ-2受容体にもvesamicolよりは高い親和性を示した。腫瘍の種類によって、σ-1受容体を多く発現するものやσ-2受容体を多く発現するものなど様々なので、両σ受容体に親和性を示すことは治療対象である腫瘍の範囲を広げることに繋がると考えられる。現在は、更なる化学構造の変換を試行中であり、よりσ受容体に集積する化合物の合成実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
デザイン化合物の合成と、in vitroにおけるスクリーニングは行ったが、構造の最適化はいまだ継続中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、新たに合成している化合物のスクリーニングを行った上で、最も良い親和性を示した化合物を用いてin vivo実験を行う。
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Causes of Carryover |
in vivo評価を行わなかった為、全てを使い切るには至らなかった。翌年度にin vivo評価を行うので、ここに「次年度使用額」を活用する予定である。
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Research Products
(6 results)