2017 Fiscal Year Research-status Report
脳神経変性疾患検出を目的としたグルタミン酸トランスポーターイメージング剤の開発
Project/Area Number |
17K10357
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山口 博司 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (00450841)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 真希 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 標識薬剤開発部, 研究員(任常) (00415407)
舘野 賢 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 教授 (40291926)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | PET / イメージング剤 / グルタミン酸トランスポーター / エストロゲン受容体 / In Silico / フッ素化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は脳神経変性疾患に用いることが可能なグルタミン酸トランスポーター(GLT)PETイメージング剤の開発を目的としている。GLTのグルタミン酸取込み阻害作用を持つタモキシフェン誘導体やβ-ベンジルオキシアスパラギン酸誘導体、テトラヒドロベンゾピラン誘導体などが明らかになり阻害剤として利用されてきている。本研究では、テトラヒドロベンゾピラン誘導体に対してPET核種である[11C]もしくは[18F]を導入可能な分子設計および標識検討を行い、グルタミン酸神経伝達系に深く関与した機能異常を可視化できるイメージング剤の開発に取り組んできている。 近年、グルタミン酸受容体イメージング剤として[11C]ABP688や[11C]ADX88178が開発され、様々な脳神経疾患の早期発見イメージングに用いられているが、一方でGLTに結合する有用なイメージング剤は開発されていない。GLT阻害剤として知られるタモキシフェン、β-ベンジルオキシアスパラギン酸、テトラヒドロベンゾピランの各誘導体が利用されているが、これらの薬剤はエストロゲン受容体に対しても結合することが明らかとなっている。薬剤設計にあたっては、放射性核種による標識、血液脳関門(Blood Brain Barrier:BBB)の透過、受容体やトランスポーターなどの他の生体内タンパク質に対する非特異的結合の排除を盛り込んだうえで直接GLTに結合させる必要があり、構造生物学およびIn Silicoでの構造最適化などの手法を用いて分子設計と前駆体合成、標識の検討を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画では、初年度に合成に[11C]メチル化標識条件の検討と、動物実験に用いるてんかんモデル動物の作製を予定していた。 UCPH-101母体骨格のテトラヒドロベンゾピランはメトキシ基の脱メチル化体の合成および水酸基の標識[11C]メチル化、もしくはアミンの標識[11C]メチル化によってPET薬剤化可能と考えていた。しかしながら、メトキシ基は生体内において一部が脱メチル化され、標識部位として適さないことが判明した。 アミンの標識[11C]メチル化については、計算化学的手法を用い、GLTへの結合予測を立てたところ、著しい結合低下の可能性が示唆された。そこで、計算化学的手法により、GLTへの結合能を担保しつつ、他の生体内分子への非特異的結合を抑えた構造最適化に取り組み、[11C]メチル化に加え[18F]導入についての検討を追加実施している。 一方、てんかんモデル動物の作製については分担研究者の所属する放射線医学総合研究所において確立できているため、標識合成が出来次第、このモデル動物を用いての薬剤分布の定量評価実験を行なう予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
計算化学的手法による構造最適化およびスクリーニングによりUCPH-101母体骨格のテトラヒドロベンゾピランからの誘導構造を算出してきている。これら算出データから前駆体の合成と標識条件検討を進めるとともに、29年度に作製したてんかんモデル動物を用いた薬剤分布の定量評価実験を実施していく予定である。 また標識方法としては、[18F]導入についての検討を追加実施していく。
|
Causes of Carryover |
化合物の構造改変設計が遅れており、試薬代購入に関する未使用額が生じた。 次年度の試薬購入費用に使用予定である。
|
Research Products
(5 results)