2017 Fiscal Year Research-status Report
細胞周期制御因子CDK2を標的とした放射性プローブの開発
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17K10369
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
北浦 廣剛 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (10281817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大倉 一枝 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (60094827) [Withdrawn]
久下 裕司 北海道大学, アイソトープ総合センター, 教授 (70321958) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | がんのイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
1. CDK2標的プローブの設計・合成 二種類の既知のCDK2阻害剤をリード化合物として、標識位置の検討を行った。化学合成の容易さ及び迅速さを考慮し、放射性ヨウ素125の標識位置を検討した。その候補として、各々の化合物から1種類ずつを設計し、合計2種類のCDK2阻害剤(化合物 I125-KAN、化合物 I125-OKA)の合成を進めた。なお、設計した二種類の放射性化合物を合成する前段階として、設計した化合物と同じ構造で非放射性ヨウ素に置き換えたものを合成した。両化合物とも高収率で非放射性ヨウ素体が得られ、化合物KANは3.4mg、化合物OKAは13.6mgが得られた。
2. CDK2阻害活性の評価 非放射性ヨウ素付加体の化合物KANと化合物OKAを用い、インビトロにてそれらのCDK2酵素への阻害活性を測定することにより、CDK2への結合性を評価した。精製したCDK2/cyclinAタンパク質とそのリン酸化基質としてヒストンH1を用い、試験管内にて化合物KANと化合物OKAの濃度を変化させて、阻害活性を解析した。その結果、各々のリード化合物より数倍阻害活性が低下するものの、依然CDK2阻害活性は強力であることが判明した。そこで、細胞の増殖阻害への効果を検討するため、細胞周期停止アッセイおよび細胞増殖アッセイを行った。細胞として、ヒト皮膚がん由来細胞株A431およびヒト胃がん由来細胞株MKN45を用いた。これら細胞を用い96穴培養プレートにて検討したところ、化合物によってはリード化合物の活性に比べ、10倍程度減弱したものの、細胞周期や増殖への阻害作用は強く、インビトロでのCDK阻害活性を反映したものであると考察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
設計した化合物のCDK2への結合活性は高く、細胞周期回転が早く増殖の激しいがんのイメージングにおいて有望であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度得られた2種類のCDK2阻害剤は、放射性ヨウ素125にて置き換えて新たに標識し、これを用い、がん細胞への取込活性を検討する。そのために、放射性標識体を安定的かつ迅速に合成できる手法の検討を進め、確立させる。また、実際の血中投与の際には、分解を受けにくく安定であることが重要であるため、血漿中での化合物の安定性や血中タンパク質への結合割合について検討を進める。
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