2019 Fiscal Year Research-status Report
細胞周期制御因子CDK2を標的とした放射性プローブの開発
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17K10369
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
北浦 廣剛 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (10281817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大倉 一枝 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (60094827) [Withdrawn]
大島 伸宏 北海道医療大学, 薬学部, 助教 (80508648)
久下 裕司 北海道大学, アイソトープ総合センター, 教授 (70321958) [Withdrawn]
東川 桂 北海道大学, アイソトープ総合センター, 助教 (10756878) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | がんのイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
1. CDK2以外のCDKファミリータンパク質への結合特異性の解析 前年度作製した2種類の化合物について、CDK2への強力な結合性が認められたが、CDKはCDK1~13の大きなファミリーを形成しており、これらの間での化合物の結合特異性は不明である。これを検討する目的で、CDK2への強い結合性が認められたI-KAN化合物につき、代表的な他のCDKメンバーであるCDK1, 4, 5, 6, 7への結合特異性の解析を行った。CDK/サイクリン複合体に化合物を添加し、その酵素活性へのIC50値を算出したところ、CDK2への阻害活性が一番強力なものの、CDK1とCDK6に対してもその0.4~0.6倍の阻害活性を有することが判明した。よってCDK1とCDK6に対しても、I-KAN化合物は強く結合することが示唆され、CDK1と6を高発現する癌種においても、がんイメージング剤として利用できる可能性が判明した。
2. がん動物モデル作成のためのがん細胞株の選定 上記の結果を受け、CDK2以外の他のCDKファミリータンパク質のがん細胞株での発現量を確認する必要が生じた。標的としていたCDK2以外にCDK1、CDK6にも強く結合し、担がん動物モデルを用いた画像診断に影響を与える可能性が高いためである。ウェスタンブロット法を用いた解析は現在も継続中であるが、がん細胞株によりCDK2も含めCDKファミリータンパク質の発現変動が大きいことがわかった。CDK2発現量の高いものを第一の条件として選択し、125ヨウ素標識したI-KAN化合物を用い細胞取り込み実験にて、CDK2やその他のCDKメンバーの発現量と細胞取り込み活性との相関を解析した。細胞取り込み活性が高く、かつ非標識CDK2阻害剤による細胞取り込み阻害効果も高いがん細胞株を用い、担がんモデル動物の作成を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに設計・合成した2種類の化合物のうち、CDK2阻害活性が強く放射性ヨウ素化反応法を確立したI-KAN化合物は、がん細胞株内でのCDK2発現量に相関して細胞取り込み活性が上昇しており、また未標識のCDK2阻害剤にて細胞取り込み活性が阻害された。このことから、この化合物をがんイメージング剤として用い、適切ながん細胞株を選び担がんモデル動物の作製を行えれば、個体での癌の画像診断薬として使用できる可能性が高いと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ヨウ素125を用いた放射性ヨウ素化反応法は確立したものの、がんのイメージングではヨウ素123を用いるため、この核種での合成も同様に可能かを検討し、高効率な合成法を確立する。 選定したがん細胞株を移植した担がんモデル動物の作成を行い、SPECT法にてがんの画像診断薬として使用できるか検討を進めたい。
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Causes of Carryover |
購入試薬の納入が予定より遅れたため、残額が生じました。科研費研究最終年度の研究費となるものであり、放射性薬剤の調製とそれを用いた担がんモデル動物の作製と画像診断実験を進める予定であります。
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