2020 Fiscal Year Research-status Report
細胞周期制御因子CDK2を標的とした放射性プローブの開発
Project/Area Number |
17K10369
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
北浦 廣剛 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (10281817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大倉 一枝 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (60094827) [Withdrawn]
大島 伸宏 北海道医療大学, 薬学部, 助教 (80508648) [Withdrawn]
久下 裕司 北海道大学, アイソトープ総合センター, 教授 (70321958) [Withdrawn]
東川 桂 北海道大学, アイソトープ総合センター, 助教 (10756878) [Withdrawn]
水野 雄貴 北海道大学, アイソトープ総合センター, 助教 (90805194)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がんのイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
1. がん動物モデル作成のためのがん細胞株の選定 前年度の研究より、CDK2への強い結合活性が認められたI-KAN化合物につき、代表的な他のCDKファミリーメンバーであるCDK1、4、5、6、7への結合特異性の解析を行ったところ、CDK2への結合活性が一番強力なものの、CDK1とCDK6に対してもその0.4~0.6倍の結合能を有することが判明している。よってI-KAN化合物は、標的としていたCDK2以外にCDK1、CDK6にも結合し、担がん動物モデルを用いた画像診断に影響を与える可能性がある。そこで、ウェスタンブロット法を用いて、種々のがん細胞株でのCDKファミリータンパク質の発現量を比較解析した。 担がんマウス作製に用いられる代表的なヒトがん細胞株5種の全細胞抽出液を調製し調べたところ、CDK2タンパク質の発現量は細胞間で2.4倍の差が存在し、CDK1では4.8倍、CDK6では4.5倍もの発現量の差が個々の細胞種間で認められた。CDK2発現量の高いものを第一の条件として選択し、125ヨウ素標識したI-KAN化合物を用いた細胞取り込み実験にて、CDK2やその他のCDKファミリーメンバーの発現量と細胞取り込み活性との相関を解析した。その結果、125I-KAN化合物の細胞取り込み活性が高く、かつ非標識CDK2阻害剤による細胞取り込み阻害効果が高くCDK2への特異的な取り込みが認められるヒト胃がん細胞株MKN45が、担がんモデル動物の作成に適していると考察された。ヒトがん細胞株の選定は、現在も引き続き検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍のため、計画していた研究の推進が困難であった。前年度までに解析したがん細胞株のうち、がん細胞株内でのCDK2発現量に相関して細胞取り込み活性が上昇し、また未標識のCDK2阻害剤にて細胞取り込み活性が阻害されるヒト胃がん細胞株MKN45が現在のところ、担がんモデル動物の作製に最適であると考えている。この細胞株にて担がんモデルマウスを作製できれば、放射性I-KAN化合物を用いることで個体での癌の画像診断薬としての解析ができる可能性が高いと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヨウ素125を用いた放射性ヨウ素化反応法は確立したものの、がんのイメージングでは異なる同位体のヨウ素123を用いるため、この核種での合成も同様に可能かを検討し、高効率な合成法を確立しなければならない。この領域の研究は昨年度の課題であったが、本学の都合により2019年度にて北海道医療大学アイソトープ研究センターの使用は停止されたため、共同研究の北海道大学アイソトープ総合センターにて実験を進める予定であった。しかし、コロナ禍のためアイソトープを用いた研究は全く伸展していないのが現状である。選定したがん細胞株を移植した担がんモデル動物の作成を早期に行い、SPECT法にてがんの画像診断薬として使用できるか検討を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、アイソトープを用いない通常の実験施行も困難な状況となり、またアイソトープ施設の使用停止とも重なり、研究の推進が困難な一年でありましたので、次年度へと研究延長させていただきました。前年度に引き続き、放射性薬剤と担がんモデルマウスの作製を行い、がんの画像診断実験解析を進める予定であります。がん細胞株の再度の選定等でCDKへの結合解析が必要な場合には、アイソトープではなく発光を用いたキナーゼ活性評価系を立ち上げ、自大学での実験を推進していきたい。
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