2018 Fiscal Year Research-status Report
線維芽細胞増殖因子受容体を標的としたがんの質的診断用イメージングプローブの開発
Project/Area Number |
17K10377
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
木村 寛之 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (50437240)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 繊維芽細胞増殖因子受容体 / PET / SPECT / 分子イメージング / I-123 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、繊維芽細胞増殖因子受容体(Fibroblast Growth Factor Receptor, FGFR)に着目し乳がんや肺がん、膀胱がんの治療方針設定に資する質的診断用PET/SPECT分子イメージングプローブを開発し、さらに開発したプローブを用いがん化のメカニズム、薬剤耐性へのメカニズムを解明し、遺伝子情報を含んだ新規核医学診断法の開発、さらに分子標的薬の開発への効率的なワークフローを構築することにある。FGFRはFGFR1~FGFR4までのサブタイプがあり、様々ながんでの変異や過剰発現がみられている。 合成した化合物AのFGFR1への親和性を評価したところ、IC50値として94±31.0 (nM)と高い値を示した。一方、FGFR2、FGFR3 (K650E)、FGFR4への親和性は高くなく、化合物AはFGFR1への選択性が高いことが分かった。次に、化合物AのF-18標識化を試みたところ、低収率ながら目的の化合物を得ることができた。しかしながら、これ以上評価を進めることは困難と判断し、新しい化合物の開発に着手した。 反応の進行が悪い理由として、母格であるAZD4547のピペラジン環の2つのメチル基が標識の際、立体障害となっていると考えた。そこで、この2つのメチル基を取り除いたSPECT用イメージングプローブとしてI-123を導入した化合物Bを設計・合成した。化合物BのFGFR1阻害活性(IC50=252 nM)は低下したものの、FGFR2に対しての阻害活性は向上した(IC50=59 nM)したことから、FGFR2が過剰発現しているとされる胃がん、乳がん、大腸がんをターゲットとしたイメージングプローブ開発へとつなげられる可能性が示唆された。化合物Bの標識化を検討したところ、放射化学的収率は27.1%で目的の化合物が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化合物Aの開発は中断したものの、その後化合物Bの合成に成功しており、現在in vivo評価を進めている。また、薬剤設計を効率的に行うために計算化学を導入し、さらに精密な薬剤設計を実施した。ドッキングシュミレーションの結果から化合物の最適化を行い、現在新規の化合物の合成と評価を進めている。インビトロの評価系は既に確立済みであり、 担がんマウスの作製に関しては、FGFR1 高発現肺がん由来細胞である H520細胞の担がんマウスの作製に成功しており、現在そのモデル動物を用いて分子イメージングプローブの集積量を評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
合成した化合物のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4への親和性と選択性の評価を行う。有望な化合物であれば、標識化を行いin vivo評価へと進める。PET, SPECTプローブの両方の開発を進めるために、F-18, I-123を導入した化合物の合成と評価を進める。 進め方としては、正常マウスにプローブを投与して経時的に屠殺し、各臓器の重量および集積した放射能を測定する。非特異的な集積の有無を確認すると共に、プローブ候補化合物の基礎薬物動態解析を行う。この時点で動態の観点から望ましくない化合物であれば、再度薬剤設計からやり直す。創製した分子プローブについて、実験腫瘍細胞を移植したヌードマウスに投与し体内分布実験を実施する。腫瘍への集積性、血液腫瘍比、腫瘍肺比、腫瘍筋肉比、腫瘍肝臓比、腫瘍腎臓比を指標にプローブの選別を行う。さらに、非特異的な臓器への集積も評価する。投与後腫瘍肺比は2倍以上、その他の周辺臓器(筋肉・腎臓・血液など)比は3倍以上を目指す。また、標的部位に結合する既知の化合物あるいはプローブの非標識体を投与してインビボブロッキング実験も行い、腫瘍に集積した放射能の標的特異性について検討する。前述の検討で、腫瘍に特異的集積が示されたプローブについて、担癌モデル動物に投与して経時的にPETあるいはSPECTでイメージングを行い、腫瘍が描出可能かどうかを検討する。撮像が終わった後に動物を屠殺して臓器を摘出・集積した放射能を測定し、画像のシグナル強度と放射能集積の相関を調べる。本学に導入されたSPECT/CT装置を有効活用し、研究を加速するためにインビボSPECTスクリーニング法を先行して行うことも検討する。
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[Journal Article] PET probe detecting non-small cell lung cancer susceptible to epidermal growth factor receptor tyrosine kinase inhibitor therapy2018
Author(s)
Akira Makino, Anna Miyazaki, Ayaka Tomoike, Hiroyuki Kimura, Kenji Arimitsu, Masahiko Hirata, Yoshiro Ohmomo, Ryuichi Nishii, Hidehiko Okazawa, Yasushi Kiyono, Masahiro Ono, Hideo Saji
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Journal Title
Bioorganic & Medicinal Chemistry
Volume: 26
Pages: 1609-1613
DOI
Peer Reviewed
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