2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K10386
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
大矢 智幸 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 標識薬剤開発部, 研究員(任常) (80531532)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 内照射療法 / Cu-67 / 共沈分離法 / Ag-111 / 銀核種 / パラジウムターゲット |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、臨床67Cuを製造する方法として、加速器を使う複数のルート68Zn(p, 2n)67Cu, 68Zn(γ, p)67Cuがあるが、いずれも大量のZn(数g~数10g)をターゲットとし、その分離精製過程も複雑(陽イオン交換樹脂→キレート樹脂→陰イオン交換樹脂)である。今回、研究では、数gオーダーのZnターゲットからAgを共沈剤として67Cuを簡便に分離精製する方法を開発した。具体的には、酸溶解させたZn内の67Cuを、Agを共沈剤として用いて沈殿ろ過することで、ターゲットから大部分のZn(と放射Ga)を、簡便に取り除くことができた。ろ過フィルターからの67Cuの再回収は、回収溶液(混酸)を調整することで95%以上の回収率を実現できた。なお、当初予定していた二段階共沈分離法だが、共沈法では製品から共沈剤を取り除くことが不可欠なことや、一回の共沈で製品のZn濃度が数ppmまで低下し、精製に使用する樹脂への負荷が大幅に軽減されることから、共沈を一次精製として行い、その後、樹脂を用いて共沈剤のAgと同時に残存Znを除去した方が現実的であると結論付けた。AgとZnの除去についてはAg,Znの放射核種を用いて条件検討した結果、陽イオン交換樹脂の使用が妥当との結果を得た。 今回開発した共沈分離法は分離精製時間や手順を大幅に短縮できることから、製造の高効率化が見込まれる。 分離方法の開発について途中経過は国際学会(ISRS2017)にて発表した。また、これと並行して、前臨床用として小規模な67Cu製造方法について、成果を論文誌(NMB 2018 )に報告した。なお、研究課題として挙げたAg核種のPdからの分離については、陽イオン交換樹脂を用いることで効率よく分離されることが示された。現在、分離精製後の他の金属元素濃度の同定や、回収率の計測法を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
nat-Znを原料とした場合、70Zn(d,x)67Cuの励起関数測定が困難であったため、大量のZnターゲットから67Cuを分離精製する方法の研究を優先的に進めた。Znターゲットから共沈による67Cuの分離法については、共沈条件、沈殿物ろ過後のフィルターからの回収法、Agの除去方法について概ねその方法を確立した。また、Ag核種のPdからの分離については、沈殿・ろ過以外に各種イオン交換樹脂を試験したところ、報告にあった陽イオン交換樹脂の溶離条件を一部変更することで効率よく分離されることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
ZnからCuの共沈を用いた分離方法について、既存の分離方法(陽イオン、陰イオン交換樹脂+キレート樹脂)も実際に行い、回収率を含めた比較を行う予定である。また、natZn(可能であれば68Zn)を用いた定量的な67Cuの製造試験を行う予定である。分離法で確立したところはリモート化の検討を行ってゆく。Ag核種の製造に関しては、製品内のPd濃度を計測する方法(64Cuと同じく、ポストカラム法が有力候補)がまだないため、それの確立を目指すとともに、放射性Pdを用いた方法についても検討している。また、Pdは将来的にエンリッチターゲットを使用する可能性が高いため、Pdのリサイクル法についても検討する。なお、分離した放射性Ag核種については、ATSM等のキレート物質と結合性等も調べる予定である。
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Causes of Carryover |
レギュレータメンテナンス代として予定していたが、金額が不足したため、翌年分と合わせて、修理を依頼する予定。
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