2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K10386
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
大矢 智幸 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 先進核医学基盤研究部, 研究員(任常) (80531532)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 内照射療法核種 / Cu-67 / 銀核種 / 分離精製法 / ターゲットリサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、Ag核種の製造にはもっぱら原子炉が使用されているが、一部の核種(Ag-105, 110m)では加速器の利用Pd(d , x)Agが代替法として有効である。その場合、長半減期の放射性副生成物Rh-101m, 102mの分離が不可欠になるが、これまでのところそれを考慮したシンプルな分離法は報告されていない。そこで、今回の研究では、原子炉ルートで報告されたAg-111(内照射療法核種)の分離法をベースにAg, Rh, Pdの分離に最適な方法を、照射ターゲット(Pd)のリサイクル法も含めて検討した。その結果、陰イオン交換樹脂(Dowex1-x8)を用い、塩酸濃度を1M, 4M, conc.と変えることで、Rh, Ag, Pdを分離することができた(Agの収率は98%)-先行研究では、10Mとconc.でAgとPdの分離を行っているが、10Mの場合、交換樹脂内でのPd移動が無視できず、Agの収率を上げようとした場合、製品にPdが混在する。また、ターゲットのPdはNaBH4を用いることで、回収率90%でリサイクルが可能になった。なお、リサイクルされたPdに対しても照射実験を行い、同等の生産量を得ている。今回得られた分離精製の知見は、そのリサイクル方法を含め、Pdをターゲットとした製造であれば、原子炉の場合(Ag-111)はむろん、今回雑核種として排除した、放射性Rhを目的核種とした場合にも有効である。これらの成果は論文誌(Radiochimica Acta 2020)に報告した。また、先に行った、イオン交換樹脂を用いないCu-67(内照射療法核種)の新規分離法についても、成果をまとめ、論文誌(Radiochimica Acta 2019)に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の課題については、装置自動化が遅れているものの、ベースとなる分離法はすでに確立されため、おおむね順調に進展したと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
Ag核種の分離について、分離作業にかかる時間の短縮が図れないか、追加実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
銀核種の分離精製について、基本的な方法は確立されたが、現在では、作業が終了するまでおよそ一日程度必要とされる。ルーチンでの製造を想定した場合、中―長半減期核種を対象としていることもあり、現行でも装置の完全自動化を行うことで転用は可能と思われる。しかしながら、従業者や製造機器に対し、さらなる負荷の軽減を考え、作業工程で短縮が可能な部位について再検討を行う予定である。具体的にはイオン交換樹脂の減量や、代替溶解法についても検討する
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