2017 Fiscal Year Research-status Report
Study on high accurate quantitative method to measure white matter using phase and diffusion information of MRI
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17K10411
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
米田 哲也 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 准教授 (20305022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 弘司 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 助教 (20237936)
北島 美香 熊本大学, 医学部附属病院, 准教授 (60305018)
國安 明彦 崇城大学, 薬学部, 教授 (90241348)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | MRI / ミエリン / 神経変性疾患 / 位相画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず交付申請に従い動物実験による、脳内ミエリンの定量測定のためのMRI基礎技術の確立を行った。 本研究では、NODDIと位相画像情報を用いたMRI撮像後処理によって、ミエリンを定量化することが目的であったため、まずはそれぞれの処理が行えるように、二種類(拡散強調画像・マルチエコーGRE法)による撮像法が、動物実験機でも可能になるように撮像実験を重ねた。また同時並行に、研究分担者によるミエリンを失う(脱髄する)マウスの作成検討を行った。作成検討は7月まで要したが、脱髄疾患の特徴である歩行困難や振戦などの症状が現れるマウスの作成に成功した。さらに、このマウス脳を研究分担者が染色を行い、最も効率的で定量性が高い染色法を検討し、BlackGold IIによる染色が効果的であることを明らかにした。この手法により、染色されたモデルマウスの脳は、明らかな脱髄を示し、マウスが適切に作成されたことを証明した。これらの準備を基に、あらかじめ準備していたMRI撮像法を用いて、秋頃より撮像検討を開始した。撮像自身は順調であったが、得られた画像が複数の原因で、位置ずれなどのアーチファクトを多く含むことがわかり、このようなアーチファクトを含む画像からは、NODDI再構成がうまくいかないだけではなく、位相情報による定量評価も満足得られる結果を得られなかった(染色画像と完全に対応する結果ではなかった)。このため、現在はこれらアーチファクトを抑制する撮像法の検討と、補正を行う画像処理法の開発を優先的に行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
NODDI法で用いる拡散強調画像化法による撮像と、位相画像情報を得るためのマルチエコーGRE法による撮像のいずれも、原因不明の位置ずれが起こるため、メーカーの協力のもと、その原因究明と、解決法を探っている状態が続いている。解決には、撮像法そのものの改良による、位置ずれなどのアーチファクトの抑制と、後処理による画像補正技術の検討を並行して行っており、現在の所、撮像法よりも画像処理による解決法が有効ではないかと考えている。NODDI法はかなり繊細な処理法であるため、データの完全性が要求されるためさらなる改善が必要であるが、位相画像情報から試みられる定量化法は一定の成果を上げている。少ない例数ながらも、手動により位置ずれを解消したデータを用いてマルチエコー法によるデータの解析が可能であったため、これを申請時の提案法により解析を行い、得られたミエリンの定量値が染色画像との相関を示すかを検討した。この初期検討の結果、染色画像と同様の傾向にあるミエリン量が定量値(数値)として得られることがわかり、確実に脱髄が起こっているマウス脳の一部では、その数値が下がることが明らかになった。ここまでの結果は、当初予想されていたNODDI, 位相画像法の両手法による定量値取得とは行かないまでも、問題点を明らかにし、臨床応用に至る研究の道筋を示しているものとして、当該評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在問題となっている、位置ずれを中心としたアーチファクトが何に起因しているのかを明らかにして、これを克服する改善法や処理法を確立する。臨床応用に向けて、これらが本質的な問題であるのかを明らかにし、問題点であるならば、臨床試験に入る前に動物実験で培った改善法(処理を含む)により、臨床応用が可能とすることを2年目の課題としたい。無論、動物実験自身を完遂し、得られた画像から(定量)値を取り出し、これが染色画像と相関があることを、科学的に(統計等を用いて)示すことが課題である。さらに、可能な限り高精度に定量値(ミエリン密度を含む)を染色画像と比較することで決定し、臨床応用可能な状態まで技術を向上させたいと考えている。また、研究分担者である臨床医と相談をはじめ、倫理委員会の許諾をとるべく、臨床検討を始める準備を行う。 最終的に、動物実験例はモデルマウス、コントロールマウス各10匹以上をとりたいと考えている。これだけのデータがそろえば、学会発表と論文発表を行うことも可能になると考えられるためである。
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Causes of Carryover |
初年度に予定していた動物実験に伴う支出(機器使用費、薬剤費、実験機材等消耗品)と、得られた研究結果を発表する学会発表のための旅行費が少なかったため、残額が生じ次年度使用額が生じた。次年度では、遅れているこれらの計画が進むことによって、順当に消化されるものと期待される。
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