2018 Fiscal Year Research-status Report
Study on high accurate quantitative method to measure white matter using phase and diffusion information of MRI
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17K10411
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
米田 哲也 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 准教授 (20305022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 弘司 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 助教 (20237936)
北島 美香 熊本大学, 医学部附属病院, 准教授 (60305018)
國安 明彦 崇城大学, 薬学部, 教授 (90241348)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | MRI / ミエリン / 神経変性疾患 / 位相画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度作成されたマウスモデルを用いて、確立されたMRI基礎技術の確認と、問題となっていたアーチファクトの抑制に関する研究を進めた。特に定量値を得るための撮像法であるマルチエコーGRE法の位置ずれと、ノイズの低減を主な課題として今期前半の研究を進めた。位置ずれの問題は、スライス方向に顕著に表れるため、臨床でも行われているオーバーサンプリングやpixel bandwidthの変更などを試みたが、大きく改善するものはなかった。可能性を一つ一つ探り、のこった原因のうちもっとも大きな原因となり得るものがeddy currentによる位置ずれの可能性があるため、メーカー技術者の派遣を依頼し、三日間という長時間の調整を行い補正を行ってもらった。補正の結果、位置ずれが改善されたため、原因の主なものはeddy currentであったと考えられる。しかしながら、補正後の画像でもT1強調画像などの解剖学的な画像と、大きくは数ピクセルのずれがある場所が認められた。この補正を機械的に行うことは現段階の検討法では限界があると判断したため、本研究期間中の位置ずれ補正は、Matlabを用いた画像処理を用いた位置ずれ補正と信号補正で対応することとした。 以上の補正を用いた画像で解析を行った結果、染色とより高く相関するミエリンマップを得ることができるようになった。そこで、次年度以降のヒトへの応用を見込んで、撮像法の高速化と処理の高速化を目指すこととした。撮像法は、echo数を変化させて少ないechoでも再現性に変わりの無い最小のecho数を調べたところ、5echosまでが下限であることが明らかになった。さらに、再構成時間を短縮するためにモデルのfitに要する時間が最も長いために、従来の最小二乗法からLevenberg-Marquardt法にへんこうすることで、25%の時間短縮を実現できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アーチファクトの低減や位置ずれの解決に時間を要したため、年度末に計画していた人への応用に向かうことができなかった。しかしながら、丁寧な検討のおかげで、撮像時間の大幅な短縮と再構成時間の短縮を実現し、社会実装に向けた基礎技術を確立することができた。ただし、これらの技術をモデルマウスで再検討をして確かめる予定であったが、2019年頭に発生した熊本付近を震源とする地震による影響で、動物用MRIクエンチを起こし、5月の現段階まで使用不可能であるため、次年度はもう少しの予定遅れを覚悟している。同時に定量性の検証は最終的な動物実験が行われない限りは、染色などに回せないため、定量性の検討が続けられないのが最も重要な問題である。
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Strategy for Future Research Activity |
前項にあるように、地震による動物実験機への影響が大きく、動物実験機を使用したこれ以上の検討が難しいのが現状である。このため、次年度は動物を使用しない検討法(検証法):例えばコンピュータシミュレーションなどを検討する必要がある。さらに、直接、ヒトへの応用にトライすることも考えられる。この際に、事前にライセンスフリーで使用できるヒトデータを用いて事前検討を行い、撮像・再構成に向かいたいと考えている。この事前検討方法の利点は、ミエリンマップを得ているデータが公開されている点にあるため、(時間短縮した撮像法を検討できないものの)ヒト脳を用いた検証再構成実験を行えるため、本来の目的に近い検討を進めることができると期待できる。実際のヒトを用いた検討は、健常者10名程度を用いて、年齢を10代から60代までをスキャンし、過去の剖検による報告と加齢に伴うミエリン低下を観察できるかを検討できるようにしたい。この意義は、健常者の脳内ミエリンが捉えられることを示して、脱髄疾患を感度高く検出できる保証とするためである。
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Causes of Carryover |
使用予定であったMRIが1月の地震の影響で使用不能となり、それに付随する実験機器使用料と染色費用の消化が行われなかったため。
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