2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K10422
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Research Institution | Akita Cerebrospinal and Cardiovascular Center |
Principal Investigator |
中村 和浩 秋田県立循環器・脳脊髄センター(研究所), 放射線医学研究部, 主任研究員 (10312638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 逹哉 秋田県立循環器・脳脊髄センター(研究所), 脳神経外科学研究部, 病院長 (10281809)
木下 俊文 秋田県立循環器・脳脊髄センター(研究所), 放射線医学研究部, 副病院長 (70314599)
佐々木 一益 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (80738948) [Withdrawn]
小山内 実 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90286419)
片山 統裕 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (20282030)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | MRI / 拡散強調画像 / 血管径計測法 / 磁化率強調画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はMRI血管径画像法で得られる値が、拡散定数や血管内外の磁化率の差などに依存するため、その値の妥当性を検討することにある。本年度は血管径画像法に利用する造影剤を検討した後、2光子顕微鏡で測定した血管径の実測値と動物用MRI装置を用いて撮像した血管径画像法で得られた値を比較し、血管径画像法の妥当性を検証した。 まず、血管径画像法に利用する造影剤は十分な信号強度の低下が観察され、撮像時間内に血漿内造影剤濃度が変化しないことが必要とされている。そこで、市販で入手可能な磁性体造影剤が血管径画像法で利用できるかどうかについて基礎的検討をおこなった。利用可能な4種類の超常磁性体酸化鉄造影剤(USPIO)を比較検討した結果、磁性体効果の血液内半減期が長いMolday Ionが血管径画像法の測定に適切であるとの結論を得た。 続いて4.7T 動物用MRI装置を用いてグラジエントエコー法および、スピンエコー法を撮像することにより血管径画像を取得した。2光子顕微鏡の画像取得は、ラットの左頭頂骨に骨窓を作成した後蛍光色素を静脈内投与することで血漿成分を蛍光標識し、イソフルラン全身麻酔下で2光子共焦点顕微鏡を用いて脳表血管を観察した。顕微鏡画像解析はImageJを用いた。両者を比較した結果、2光子顕微鏡観察領域内の平均血管径は約15μmであり、血管体積はおよそ2%であった。MRI血管径画像法で得られた値は、2光子顕微鏡による観察領域内で約45μmであり、おおむね一致する結果が得られた。とはいえ、MRIの画像分解能は2光子顕微鏡の分解能と大きく異なり、細動脈と毛細血管でその感度が異なるかなど、詳細な検討はできていない。今後MRIの送受信コイルをマイクロ化しコイルの感度範囲を狭くすることで、信号雑音比を向上させるなどの研究を通して、より詳細な検討をおこないたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和1年度について達成目標は、磁性体造影剤を用いた血管径画像法により推定された血管径が2光子顕微鏡で実測された血管径とどの程度一致するかを示すことにあった。本年度の実験により、MRIによる血管径計測法が確立し、2光子顕微鏡で得られた血管径との比較を行うことができた。このことから、目標は達成され、十分研究が進んでいるといえる。とはいえ、同一個体に対してMRIと2光子顕微鏡の測定を行った例は少なく、実験を追加しより詳細な検討が必要である。また、2018年度から2光子顕微鏡の実験を担当した小山内が2019年4月に大阪大学に転勤となったといった事情により、東北大学医学系研究科の2光子顕微鏡を利用した研究が遅れている。新たに共同研究者に加わった片山との共同研究により着実に研究が進められている。 一方、昨年度、臨床用MRIを用いたSRSE-DWI,TRSE-DWI計測例の解析から、血管径計測の可能性を示したところであるが、モンテカルロシミュレーションを利用した検証を新に追加しており、予備的な結果ではあるが、臨床画像から血管径計測の可能性を示唆する結果が得られている。この点に関しても順調に研究・解析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、動物実験の例数を重ね、磁性体造影剤を用いた血管径画像法により推定された血管径が2光子顕微鏡で実測された血管径とどの程度一致するかを示すことにする。2 光子顕微鏡は東北大学医学系研究科付属動物実験施設の小動物イメージングラボに配置された共通機器であるFV1000MPE(Olympus 社)を利用し、動物用MRI は秋田県立脳血管研究センターに配置された、4.7T 動物用MRI 装置(Agilent社 Inova)を利用する。実験は、健常ラットを10匹程度用いて、2光子顕微鏡の観察の後、動物を東北大学から秋田県立脳血管研究センターに移動し、中村がMRIの計測をおこなう。石川は脳外科医の優れた見識を生かし、生理モデルに関する助言を行うと共に、実験方法の提案をおこなう。2光子顕微鏡の測定は動物実験に優れた経験を有する片山、小山内の助言を受けて実験をおこなう。開窓手術直後の実験では組織侵襲が考えられることから、開窓手術から回復の期間を置き、空間分解能を上げて観察するなどの手法を検討していく。 また、臨床用MRI装置の測定について、対応する患者がいれば測定を進めると共に、健常ボランティアを募り、正常脳における磁化率変化をSRSE-DWI, TRSE-DWIの両手法を用いて検討する。臨床研究では、放射線画像診断医である木下が中心となり、測定を行う。低いb値におけるDWI画像を利用して、脳血液量(CBV)を測定できるとの報告もあり、この手法についても中村が中心となり検討する。
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Causes of Carryover |
東北大学の分担研究者の変更により、東北大学動物実験施設の利用料の支払い方法や、登録方法について受入体制が変更されたため、令和1年度の使用額が予想より減少してしまった。今回、受け入れ体制の整備が整い実験が開始しているため、動物実験施設の登録料や利用料として、令和2年度に利用する予定としている。
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