2018 Fiscal Year Research-status Report
心筋梗塞後の病態変化と左室リモデリング予測に関する継時的生体分子イメージング研究
Project/Area Number |
17K10435
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
瀧 淳一 金沢大学, 附属病院, 講師 (10251927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 数馬 金沢大学, 新学術創成研究機構, 准教授 (30347471)
柴 和弘 金沢大学, 学際科学実験センター, 教授 (40143929)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ventricular remodeling / myocardial infarction / I-125-RGD / C-14-methionine / macrophage / postconditioning / angiogenesis |
Outline of Annual Research Achievements |
血管新生時の内皮細胞の遊走を制御するαVβ3 integrinに特異的に結合するRGDの生体画像化を試みた。Tc-99m-RGDはSPECTでの集積の確認ができなかった。一方I-123-RGDはSPECTで虚血再灌流1週モデルにおける梗塞部の血管新生部に一致して集積が確認された。SPECTとオートラジオグラフィでの血流欠損の定量性の比較検討では良好な相関が得られた。 ラットの心機能、血流分布の継時的変化を8-28週令で検討した。左室拡張、収縮末期容積、一回拍出量は体重と強い正の相関を示した。一方駆出分画は体重増加に伴って徐々に低下した。心筋血流分布は心基部でわずかに変化したのみで他は変化がなく、血流分布異常は1つの標準血流分布マップとの対比で評価が可能と考えられた。 虚血再灌流モデルにおけるpostconditioning(PC)の炎症性変化と左室リモデリングに及ぼす影響の検討を行った。虚血再灌流1,3,7,14日後のC-14-methinine(マクロファージに特異的に集積する)の集積比はそれぞれ0.74±0.12, 1.85±0.16, 1.48±0.10, 1.25±0.04であったが、PCにより1,3日後では変化なく(0.78 ± 0.11、1.90±0.21)、7,14日では1.23±0.23, (p<0.05)、1.07±0.09(P<0.005)と有意に低下し、炎症性変化の終息が促進された。2月後の心エコーで、拡張末期径(0.97±0.16 から 0.78±0.12 cm, P<0.05)、収縮末期径(0.85±0.12 から 0.55±0.23 cm, P<0.05)は縮小し、fractional shorteningは改善した(12±6.2 to 29±12 %, P=0.01)。梗塞後の炎症性変化の早期終息は左室リモデリング改善と連関していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Tc-99m-annexin V によるin-vivo SPECT/CTによる虚血再灌流後の集積とその後の左室リモデリングの明確な関連が証明出来ず、これ以上の検討は断念した。この原因としてin vivo画像でのトレーサー集積の感度と定量性がオートラジオグラフィに比べで不十分であることが最も大きいと考えられた。 I-123標識arginine-glysine-aspartic acid (RGD)の生体イメージングは成功した。梗塞後の炎症性変化すなわちマクロファージの浸潤はpostconditioningにより早期に終息に向かうことが示され、それに伴って2月後の左室リモデリングが抑制された。また正常ラットの成長に伴う左室機能指標の変化、血流分布の変化の検討は順調にデータが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
Tc-99m-annexin V によるin-vivo SPECT/CTによる虚血再灌流後の集積とその後の左室リモデリングの明確な関連性が示されず、これ以上の検討は断念することとした。 梗塞後の病態変化に関しての軸足を心筋のアポトーシス、壊死からその後の組織修復に関連する血管新生と炎症性変化の推移の方向へ移し、直接的な炎症性変化の抑制が左室リモデリングに影響するかを検討することとした。梗塞後に治療的介入として抗炎症剤を投与しC-14-methinonieの集積変化と左室リモデリングの関連を検討する方針である。またRGDによる血管新生画像による梗塞後の組織修復時の集積度と左室リモデリングの関連も検討も考慮する。 また心電図同期心筋血流SPECTにおける左心機能を含めた左室リモデリング評価時における既存の各種パラーメータに加え収縮同期性による予後予測に関しても解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
ラット生体イメージングに使用する、Tc-99m-RGDの標識に関して、期待した集積度、イメージが得られなかった。新しい標識法を開発するため次年度での使用を予定している。
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Research Products
(9 results)