2018 Fiscal Year Research-status Report
医療経済効果に配慮した、高額医療機器を用いない高精度心臓核医学診断技法の開発
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17K10447
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
工藤 崇 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (20330300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井手口 怜子 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (10457567)
西 弘大 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (10719496)
上谷 雅孝 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (40176582)
前村 浩二 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (90282649)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 心筋血流 / 核医学検査 / 位相解析 / 虚血評価 / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、 1)平成29年度に引き続き過去症例後ろ向きデータ解析を行った。昨年行った70例の位相解析を用いた検討については、雑誌投稿を行い、掲載に至った。本年度はこれに追加して、138例の虚血性心疾患患者において、画像評価に人工知能を応用することで、診断精度の向上が得られるか、また初心者においても熟練読影者の読影に近づくことができるかを検討した。このため、人工知能を用いない読影と人工知能を用いた読影を、それぞれ初心者、熟練者において行い比較した。結論として、人工知能を用いることで、初心者において読影能力の向上がえられ、熟練者の読影に近づくことが判明した。一方、熟練者においても、初心者に比べて小さな変動であるが、人工知能を用いることで読影の過大評価が少なくなることが判明した。この結果は、人工知能の応用が熟練者の読影精度を向上させるのみでなく、初心者の読影能力を向上させることで、教育効果および熟練者の労力の削減につながることを示した。特別な高額な装置を用いることなく、診断精度の向上と医師の労働時間の短縮につながると考えられた。 2)平成29年度に行った、シメチジン投与による心筋血流シンチグラフィの画質改善を検証するラットによる動物実験は本年度例数を追加し、論文化した。現在投稿準備中である。 3)前向き検討としての心筋血流定量撮影については、一例撮影を行ったが、撮影技法と病院検査上の運用として克服しなければならない問題が判明したため、2例目については、現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
後ろ向き研究の部分については、技術補佐員の雇用による人的サポートの充実の効果が有、論文への第一報の投稿に至ることができた。また本年度は人工知能を用いた診断精度の向上についての研究を開始しており、これについても令和1年度初頭に国際学会への報告が予定されている。動物実験についても継続されており、論文投稿準備中であり、昨年度同様、研究の範囲は予定より広くなっている。以上、後向き研究と、動物を用いた基礎研究については、予定より大幅に進んでいると考える。 一方、前向き検討については、一例の定量測定を行ったが、克服しなければならない問題が判明したため、第二例を行うことが出来ておらず、遅れている。 後ろ向き研究の状態と前向き研究の状態を総合すると、やや遅れている状態と判断される。昨年度問題となった、人的サポートの追加については、今年度1名の技術補佐員の雇用を行い、このことが後向き研究の大きな進展につながったため、今年度も引き続き同様の人的サポートの雇用を試みる。
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Strategy for Future Research Activity |
大学院生を技術補佐員として雇用したことにより、本年度の後向き研究については予定よりも大幅に進展させることが出来、平成30年度中盤に第一報の論文投稿に至ることが出来た。技術補佐員の人的サポートの効果は絶大であったと考えられる。この実績を踏まえて、今年度も大学院生を技術補佐員として雇用し、研究体制を充実させることによって、研究の発展を図る予定とする。また、昨年度は人的サポートは臨床的な面のみに限定されていたが、基礎実験への研究内容の拡大が見られるため、基礎方面でも同様の人的サポートを試みることで、研究推進を図る。
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Causes of Carryover |
本年度は昨年度の反省より、技術補佐員を雇用した。このための人件費の負担が大きくなることが予想されたため、物品費への利用を大幅に抑えることを心がけたが、このために最終的には若干の次年度使用額が生じたものと思われる。 次年度繰り越し分については、上記反省を踏まえて、人件費へのより計画的経費割り当てを行うとともに、予想される成果発表のための出版費、旅費に充当する。
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Research Products
(16 results)