2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of molecular imaging of sarcoidosis: From evaluation of the animal model to clinical use
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17K10454
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
諸井 雅男 東邦大学, 医学部, 教授 (30256721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 哲也 公益財団法人朝日生命成人病研究所, その他部局等, 教授(移行) (60385698)
吉田 恭子 (今中恭子) 三重大学, 医学系研究科, 教授 (00242967)
廣江 道昭 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 医師 (80101872)
瀧 淳一 金沢大学, 医学系, 准教授 (10251927)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マクロファージ / 心臓イメージング / 炎症イメージング / ソマトスタチンサブタイプ2受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓の炎症イメージングにはF-18-fluorodeoxyglucose (FDG)が用いられているが、絶食などの前処置を行ってもF-18-FDGは炎症細胞ばかりではなく正常心筋細胞にも集積する。我々は、心筋細胞には存在せず、マクロファージやT細胞に存在するソマトスタチン受容体サブタイプ2(SSR2)に親和性を有する標識化合物In-111-pentetreotideを用いた炎症細胞に特異的なイメージングの可能性を検討した。 ラット心筋梗塞モデルにIn-111-pentetreotideを静注し、オートラジオグラフィを施行した。梗塞周辺領域へのIn-111-pentetreotideの集積が確認された。この集積機序がSSR2を介しているかどうかを検討するためにSSR2の阻害薬を前投与し、In-111-pentetreotideによるオートラジオグラフィを施行したところ、梗塞周辺領域への同様な集積が確認された。さらに、この心筋梗塞モデルでSSR2に対する免疫染色を施行したところ、マクロファージは存在していたがSSR2の免疫染色の陽性所見は現在のところ得られていない。 一方で、ヒト心筋炎においての生検標本で、マクロファージの集積を認めたが、SSR2の免疫染色では、陽性所見は得られなかった。 ヒトにおいては4名の心臓サルコイドーシス患者にIn-111-pentetreotideを投与したところ、心臓MRIによるLGEを認めた部位にその集積を確認した。 心臓における炎症部位にはIn-111-pentetreotideが集積することは動物でもヒトでも確認されたが、その集積機序はSSR2以外の可能性が示唆されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2つの理由がある。 1.COVID-19流行の緊急事態宣言のためマウスの実験が継続できなくなったため。 2.In-111-pentetreotideの心筋の炎症部位特にマクロファージ集積部位に集積したことは確認されたが、その機序が、当初の仮説と異なり、ソマトスタチン受容体サブタイプ2受容体(SSR2)の抗体による免疫染色にて染色できなかったこと、およびSSR2の阻害薬の前投与にてもオートラジオグラフィにて集積が確認できたことから、SSR2以外の結合による集積である可能性がたかまり、新規の集積機序を検討しなければならなくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
In-111-pentetreotideが心筋梗塞後や心臓サルコイドーシスの心筋の炎症部位に集積することは、確認されたが、その集積機序は当初想定されたソマトスタチンサブタイプ2受容体(SSR2)ではない可能性が高くなった。 今回の研究はマクロファージが認められる心臓の炎症部位にIn-111-pentetreotideが集積することが動物およびヒトサルコイドーシス患者で確認されたことと、その機序としてはSSR2を介するというよりも非特異的修正の可能性が高いことを中心に論文を作成中である。 In-111-pentetreotideは日本ではすでに神経内分泌腫瘍に対して保険収載されているSPECT用放射線医薬品であり、F-18-FDG PET検査とは異なる心臓サルコイドーシスに対する新たな保険適応をめざし行われた研究であった。しかし、In-111-pentetreotideによるシンチグラフィにて心筋の炎症部位をとらえることは可能であると考えられるが、集積機序が不明(非特異的)となると、クエン酸ガリウム(Ga-67)シンチグラフィを超える放射線医薬品になる可能性は低い。現在、クエン酸ガリウム(Ga-67)シンチグラフィが炎症部位への集積するため臨牀で用いられているが、F-18-FDG PETを越える利点は示されていない。Ga-67の心筋への炎症部位集積機序もはっきりとは解明されていない。炎症組織での血流の増加や、毛細血管の透過性亢進によるGa-67の運搬、白血球への取り込み、細菌への取り込み、組織間質への結合などいくつかの機序が同時に関与すると考えられているが、In-111-pentetreotideの心筋の炎症部位への集積も同様の可能性がある。In-111-pentetreotideによる心臓サルコイドーシスへの臨床応用に関しては、容易ではないと結論される。
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Causes of Carryover |
COVID-19による緊急事態宣言のため、マウスの実験が予定どおり施行できなかったこととIn-111-pentetreotideの心筋の炎症部位への集積機序が当初の仮説とは異なり、SSR2を介するものではない可能性が高くなったことの2つの理由で研究が遅延した。現在、データは取得されたのでその解釈と結論のまとめの段階に入っている。次年度は論文作成費用に使用する予定である。
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